飼い猫が毎日、どれくらいの水を飲んでいるかが一目でわかる波佐見焼の猫用食器「ウォーターボウル」が12月3日、日本の優れた商品、サービスを認定し、国内外に発信するプログラム「OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)2024」を受賞し、愛猫の健康を願う飼い主たちの間で話題になっている。
ウォーターボウルを製作しているのは「303CATLAB」(長崎県佐世保市)の代表・田口健司さん。可愛がっていた愛猫の病気に気づけなかった後悔を胸に「猫との生活をより良いものにしたい」と2023年に開発した。これまで第71回長崎県発明くふう展や令和5年度長崎県特産品新作展で最優秀賞を受賞してきたが、今回の受賞を機に日本国内だけでなく海外にも販路を拡大し「猫の健康維持に役立ててもらえたら」と田口さんは話している。
ウォーターボウル(高さ8センチ)は、皿と土台が分離するのが特徴。皿の内側には100mlから400mlまでの目盛(飲水量)、土台の外側には0から11までの数字(時間)が描かれている。たとえば朝8時に400mlの水を皿に入れ、土台の数字を8に合わせておく。12時間後の午後8時に水の量が300mlだった場合、猫は12時間で100ml飲んだことが一目でわかる。アナログながらコストがかからず、誰でも簡単に続けることができるのが特長だ。
田口さんがこの食器を開発したのは、12年前になくした愛猫「れお」(オス、14歳で没)の存在があったから。14歳で腎不全と診断されたとき、すでに病気は進行しており、なすすべがなかったという。「もっと早く病気に気づいてあげられていたら…との反省と後悔の念がずっと心のどこかにあった」と振り返る。
現在は「れあ」(メス、7歳)、「なな」(メス、4歳)の2匹と過ごしている田口さん。あるとき、獣医師から「猫が毎日どれくらい水を飲んでいるか、多飲多尿になっていないかなど、日々の飲水量に留意することが健康のバロメーターの一つになる」との話を聞き「毎日飲んだ水の量が一目でわかる食器があればと思いついた」という。
ウォーターボウルを使っている人からは「うちの子は腎不全を患っているが、何時に水を入れてどのくらい飲んでいるかを毎日継続して記録することで治療に役立っている」、獣医師からは「飼い主さんに日頃伝えていることが全部入っている」などの声がきかれるという。
「獣医師さんによると、飼い猫の飲水量を毎日把握している飼い主さんは少ないそうです。尿や便のチェック、トイレの回数などとともに飲水量を毎日記録していけば、腎不全、結石、糖尿病などに繋がる体調の変化にいち早く気づくことができ、早期発見ができればその後の治療の選択肢も広がるはず。今回のおもてなしセレクション受賞をきっかけに、海外での展示会出展や海外ECサイトでの販売を考えています。日本製のこの食器の良さを、自信をもって世界の愛猫家にアピールしていきたい」と意気込んでいる。
ウォーターボウルのホームページは https://303catlab.com