失礼ながら名前を見て、「誰?」と思った人も多かったのではないか。
怪談などの著作で知られる明治時代の文豪ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻セツをモデルに、来年秋に放送が始まるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』。舞台となる島根・松江で育った設定のヒロイン役に、俳優の高石あかりさんが決まった。
朝ドラのオーディションは3度目の挑戦。2892人の応募者から選ばれ「大好きな小学校の先生から『朝ドラヒロインになった姿を見たい』と言われて以来の夢でした」と、うれし涙を流した。何とも初々しい。
宮崎県出身の21歳。調べると、2019年に俳優活動を本格化させ、女子高生殺し屋コンビを主人公にした映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで主人公を務めたほか、昨年はNHKの夜ドラ『わたしの一番最悪なともだち』で、主人公の敵役を演じており、若者に人気のようだ。知らぬは中高年以上か…
かつては主役がオーディションで選ばれることが多く、〝若手女優の登竜門〟と言われた朝ドラ。『あまちゃん』ののん(能年玲奈)さん、『まれ』の土屋太鳳さん、『あさが来た』の波瑠さん、『半分、青い。』の永野芽郁さんらが代表格で、10代後半から20代前半で抜てきされてきた。
とはいえ、制作側には「実績のない一人の若手に全てを背負わせていいのか」という悩みもあるようで、近年は「オーディションなし」で直接出演をオファーするケースが多いという。現在放送中の『おむすび』の橋本環奈さん、前作『虎に翼』の伊藤沙莉さんもそうだ。
山陰(島根・鳥取)が舞台となった『だんだん』の三倉茉奈さん、佳奈さんの双子姉妹、『ゲゲゲの女房』の松下奈緒さんも「オーディションなし」だった。
次回作『あんぱん』の今田美桜さんはオーディション採用だが、既にドラマやCMに引っ張りだこで知名度は抜群だ。
だからこそ、高石さんのフレッシュさが余計に際立って見える。『ばけばけ』のタイトル通り、人気や知名度でも〝大化け〟しそうな予感が漂っている。