首都圏で相次いだ「闇バイト」による一連の強盗事件を受け、地方の警察も警戒を強めている。犯行グループは交流サイト（SNS）で「ホワイト案件」「即日入金」といった好条件を提示して“捨て駒”の実行役に仕立て上げる。募集は強盗に限らず、特殊詐欺や違法薬物の運び屋などに及ぶ。警察は罪を犯す前に必ず相談し、引き返すよう求める。
首都圏の強盗事件は、指示役がSNSで面識のない若者を集めて実行役をさせる「匿名・流動型犯罪グループ（トクリュウ）」とみられる。
島根県警生活安全部の大国智之調査官によると、「高額バイト」「超簡単」「書類を受け取るだけ」といったうたい文句が闇バイトの特徴とする。
このほか、やりとりの際に「テレグラム」「シグナル」といった匿名性の高いアプリをダウンロードするよう指示される▽履歴書代わりに免許証の写真や自宅の写真、家族の個人情報を送るよう求められる－のは闇バイトの可能性が高いという。
首都圏の強盗事件の容疑者らは、「ホワイト案件」投稿を見つけて応募し、個人情報を指示役に伝えていた。犯罪に加担するのに恐怖を感じつつ「家族への危害を恐れて断れなかった」と供述をしている。
一度参加すると途中でやめたいと思っても提供した個人情報を基に脅されるケースが多い。大国調査官は「犯行に及べば、どんな理由があろうと犯罪者になる。110番でも警察署でも駐在所でもいいので電話してほしい。警察が全力で保護する」と話した。
