京都府南山城村の休耕地となっている茶畑で摘み取った茶の花で作った化粧品を、住民と企業が協力して開発した。環境に配慮した「自然派コスメ」として「香りに癒やされ、リラックスできる」などと好評を得ている。開発者は「SDGs(持続可能な開発目標)を日常に取り入れるきっかけになれば」と思いを込める。
商品は化粧水とバームの2種類。茶の花や葉、実から抽出した水分を使って作り「お茶の生命力を閉じ込めた」とアピールする。浸透力があり、内側から肌の再生を促し、保湿力が高いことが特徴だという。
開発したのは環境関連のデータ分析や化粧品の製造販売を行う「エコ・クリエ」。今回の商品づくりのため、2022年に設立された。代表の西村庄司さん(63)は村で無農薬の稲作に取り組んでおり、村内の荒れた茶畑の活用に向け茶の花に着目。住民らと5人で21年秋に「京Chanomieプロジェクト」として化粧品作りを始めた。
同村高尾の茶畑約1万平方メートルの整備を進め、秋頃に直径1・5~2センチの開きかけの花を手作業で摘み取る。茶の実を使ったオイル作りに取り組む人らとも協力しながら試行錯誤を重ねた。
昨年10月に化粧水が完成し、スキンケアブランド「few」を立ち上げて販売を始めた。東京の展示会に出展するなどPRに精を出している。「茶の木のいい成分を使わないと、もったいない。化粧品をきっかけに外国人観光客などに村のことを知ってもらいたい」と西村さん。
プロジェクトメンバーの渡辺リンダさん(54)は「肌がしっとりして、優しい香りなのが魅力」と太鼓判を押す。化粧品は「few」のホームページなどから購入できる。