ケージに閉じこもったままの元野犬 人間との生活が怖かったんだね 預かりボランティアと過ごした4年 幸せはすぐそばにあった

松田 義人 松田 義人

4年ほど前のこと。とある経緯からメスの野犬が保護されました。後に付けられた名前は「かりん」。きれいなお顔ですが、野犬の多くがそうであるように人間が大の苦手。噛みつくようなことはありませんが、いつも人間を意識し、目が合えば視線を逸らして自らの存在をできるだけ消すような素振りを見せます。

ケージから出ると、どうしていいかわからずにパニック。同じ場所を行ったり来たりをずっと繰り返していました。

例を見ないほどのビビリぶりに唖然…

ワンコにとって大好きなはずの散歩もダメ。かりんを保護した団体・スリール〜犬達の幸せ探し〜の預かりボランティアさんは過去に多くのワンコをお世話してきていましたが、類を見ないほどのかりんのビビリぶりにあ然としつつも、「これもかりんの個性」「まずはかりんからの信頼を得ることが最優先」と過度に構わないように努め、じっくりお世話と人馴れトレーニングを続けることにしました。

1年9カ月のお世話を経てやっと散歩に出かけられるように

少しずつ散歩トレーニングを開始しましたが、首輪やハーネスをつけられることを嫌がり、ときに大暴れ。なんとかつけることができても、頑なに固まり歩いてくれようとはしませんでした。かりんなりにはがんばっているものの大きな変化を感じられない日々が続きました。

後に預かりボランティアさんには少しずつ心を開くようになりましたが、初めての人の前ではまた体を震わせビビリモードに。気がつけば保護から1年9カ月が過ぎていました。

しかし、「かりんの可能性は無限大」と信じ長年続けてきたトレーニングの成果を試すときがやってきました。

初めてのお散歩です。パニックになり脱走させてしまわないだろうか……そんな不安をよそに、かりんは人のペースに合わせ時折アイコンタクトを取りながら上手に歩いてくれました。

もちろん、かりんの表情はガチガチの固いものでしたが、次第にリラックス。「街中のさまざまな景色や音や匂い」「お友達ワンコとの出会い」など、かりんの生きる世界は一気に広がりました。

野犬の多くは人間に不馴れな一方、他のワンコとのコミュニケーションは大好きなので、かりんも「仲間たちに会える喜び」から散歩が大好きになりました

後にかりんは、少しずつ人間にも心を開き、預かりボランティアさんが外出先から帰ってくると全身で喜ぶような素振りを見せるように。それでも体を触れられたり、知らない人が近寄ってくるのは相変わらず苦手でした。

かりんの「ずっとのお家」になったのは…

保護から4年が経過しました。相変わらずのビビリですが、当初に比べれば、随分と成長しました。しかし、里親募集をかけても適切なマッチングには繋がらず、仮に「うちにおいで」の声がかかっても、かりんはまた人や環境にイチから馴れる苦労を重ねなければなりません。

4年ずっとお世話を続けてきた預かりボランティアさんはここで一大決心をしました。それは「かりんを正式にうちの家族に迎える!」というもの。

何よりも安心・安全を望むかりんにとっての本当に幸せな犬生を考えた際、「ここまで頑張りながら過ごしてきたこの『家』が一番安心できる環境なのではないか」と思うようになったからだそうです。

正式に受け入れることが決まってからのかりんは、どこか表情が柔らかくなり、散歩で行きたい方向へ引っ張るなどの、ワガママな主張もできるようになりました。逆に言えば、かりんは元来のビビリに加えて、自らの行く先を案じてずっと不安を感じていたのかもしれません。

かりんは、この先の犬生も、4年間馴れ親しんだこの家で過ごすことになりました。

かりん、良かったね。これからもこの家で穏やかで楽しい毎日を過ごしてね!

スリール〜犬達の幸せ探し〜
https://sourire-hogoinu.jimdofree.com/

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