本腰を入れてセクシー女優の活動をするなら、一度は挑戦したいのが雑誌のお仕事。大衆的な写真週刊誌から、ムフフな成人誌まで、セクシー女優にとって紙媒体は“憧れのコンテンツ”だといえます。
しかし情報のデジタル化が進んだ現代では、どのジャンルの雑誌も売り上げは右肩下がりで、出演できるタレントはごく一部というのが現状です。正直なところ、ビデオ出演よりも雑誌出演のオファーを受ける方が難しくなっています。
なぜ雑誌出演が貴重な仕事になってしまったかというと、やはり紙媒体の種類が激減したことが大きな原因でしょう。
ここ十数年で廃刊になった雑誌は数えきれないほどありますし、仮にまだ出版していたとしても「隔月発売」や不定期の発売など発刊ペースを落とす出版社が急増。掲載先がなくなれば、限られた中で仕事の奪い合いになるのは当然です。
また、セクシー女優が出演可能な媒体は元から多くありません。基本的に成人向け雑誌以外は表紙になれず、有名週刊誌でも「袋とじのみなら出られます」等の制約があります。例外はあれど、相当人気があるタレントでない限りはルール内での活動になるため、出演枠が最初から狭いのも限定色がさらに強まった理由のひとつでしょう。
出版社の人に聞いた話では、現在成人向け雑誌の読者は地方に住む人かネットに疎い高齢者なのだとか。地方の人は都心部でのイベントに行けないから雑誌を購入するらしく、高齢者の人はデジタル機器を扱えないためアナログでしか楽しむ術がないといった理由です。
実際にDVDが付録として付いてくる雑誌に、「再生の仕方が分からない」と操作方法に関する問い合わせが一定数来るのだそう。この話を聞いた時は驚きましたが、読者層がどこもこの通りなら、爆発的に発行部数が伸びないのはちょっと納得してしまうかも……。
今や写真集でさえ「デジタル写真集」と言ってウェブで閲覧するのが一般的になっているので、これから紙媒体はさらに縮小していくと言われています。雑誌へのこだわりがない演者、そしてファンからするとどちらも表舞台に出ることには変わりがないのですから。
雑誌に一発ドカンよりSNSで話題になる方が知名度アップに繋がる可能性が高いのも、令和の時代の特徴です。とはいえ、紙媒体がデジタルに押され続けているのはどこか寂しく感じます。
なんせ、未だに雑誌のグラビア掲載や取材はそこそこのギャラが出ますし(笑)「紙の写真集を出した」「表紙になった」は、他のタレントとの差別化を図るに欠かせない、素晴らしい実績。
みなさんも好きなタレントが雑誌の表紙を飾る時は、ちょっと面倒でも本屋さんに行って買いましょう。もし雑誌を買えない場合は、その雑誌の出版社がウェブで販売するデジタルコンテンツを購入するのです!あなたの行動が出版社への応援にもなりますし、購入者が増えるとタレントの仕事がまた一つ守られます。
雑誌が華麗なる復活劇を遂げるのは難しくとも、以前から残り続ける文化はどうかそのままでいてほしいものです。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。