ゴミ屋敷で「物乞い犬」と飼い主に呼ばれていた毛玉だらけの老犬を保護→ガリガリだったがトリミングすると、健気に尻尾を振った

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

「毛玉が取れると…尻尾を振ってくれたんです」

ーーシーズー犬は「いっちゃん」という保護ネームをもらったそうですね。どういった経緯でゴミ屋敷状態の家から保護を…?

「私は猫のTNR(避妊去勢手術をして元の場所に戻す)活動をしている猫ボランティアなのですが、先輩ボランティアさんから、『今度、保護活動でゴミ屋敷に入る』と教えてもらいました。詳細を伺うと、①認知症になった単身の高齢者宅 ②土足で入るのも躊躇する悪臭がするゴミ屋敷 ③世話を放棄された犬種が分からないほど毛むくじゃらな犬がいる ④認知症になる前に友人から預かった未去勢のオス猫がいる、とのことでした。先輩ボラさんは足が悪く、ゴミ屋敷での保護に慣れている私が代わりに行くことになりました」

ーー保護の後、毛玉を取るのに4時間以上かかったとか。

「保護時の状態は本当にひどいものでした。ゴミのようなものと一緒に1メートル四方のサークルに入れられ、とても犬とは思えない、よく分からない塊のようでした。生きているかどうかも分からず、動いた時は『生きていてくれた!』と安堵したのを覚えています。先輩ボラさんがキャリーバッグを用意してくれましたが、毛玉がひどく、手足を地面に下ろせないような状態でした」

ーーかわいそうに。

「シーズーは皮膚の脂分が多い犬種ですが、そのせいでいっちゃんの皮膚は膿皮症なのか、黄色いフケかカサブタのようなもので覆われていました。犬猫のシッターや老犬介護をしているボランティア仲間が毛玉のカットをしてくれたのですが、私がいっちゃんを保定した時のいっちゃんの背骨の感触……今思い出しても涙が出ます。ガリガリでした……」

伸び切った爪が肉球に

ーー本来シーズー犬のオスは筋肉質でムチムチしているはずですよね……。

「取り除いた背中の毛玉の塊の方が、いっちゃんの体重よりも重いのではないかと思うほどでした。耳も本来の長さの倍以上が毛玉。手足の毛はムートンブーツを履いているかのような分厚さで、本来の尻尾の長さも太さもわからないような状態でした。

背中から毛玉を剥がしてもらうと、長い間毛玉で動きを制限されていたいっちゃんは自分の足で歩きました。そして、ボラ仲間さんたちに尻尾の毛玉を取り除いてもらうと、尻尾を振ってくれたんです。その姿があまりにも健気で涙が出ました。翌日、預かりさんが手足のムートンブーツをがんばってはがしてくれたのですが、どうしても足を嫌がる、と。保護の翌々日、動物病院に行くと、伸びきった爪が肉球に突き刺さっていたため、足を触られるのを嫌がっていたことがわかりました」

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