「若者はタイパを重視する」という分析は様々なメディアでよく目にしますが、「タイパ」という言葉を日常的に使っている若者はどのくらいいるのでしょうか。株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(東京都渋谷区)が運営するマーケティング機関『SHIBUYA109 lab.』による「Z世代の時間の使い方」に関する調査によると、約4人に3人が「わざわざ”タイパ”とは言わない」と回答しました。では、タイパを意識する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
調査は、一都三県に居住する15~24歳の男女461人(高校生229人、大学・短大・専門学生232人)を対象として、2024年8月にインターネットで実施されました。
まず、「時間の使い方」について聞いたところ、「効率的な時間の過ごし方をしたい」は79.9%、「自分が大切だと思う事柄には時間をかけたい」は84.9%となり、多くの若者が効率的に時間を使いつつも、大切だと思うことには時間をしっかり費やしていることがわかりました。
その一方で、全体の74.6%が「”タイパ”という言葉は日常的に使わない」と回答。普段から効率的な過ごし方を意識している若者にとって、”タイパ”という言葉は「わざわざ言う必要がない言葉」であることがうかがえます。
また、「タイパや効率的な時間の過ごし方を意識する理由」としては、「自分の好きなことをする時間を捻出するため」(51.6%)が最多となったほか、「1人の時間を作るため」(45.3%)という意見も挙げられました。
続けて、「効率化したい・時間を短縮したいと思うこと」を尋ねたところ、「移動時間」(46.9%)、「勉強・課題」(39.3%)、「食事(一人)」(24.3%)が上位に。反対に「時間をかけても惜しくないと思うこと」では「睡眠」(47.1%)、「趣味・習い事」(34.7%)、「推し活」(33.6%)がTOP3となりました。
そこで、「時間を効率的に使うためにやっていること」を教えてもらったところ、「ながら〇〇(ながら視聴など)」(38.6%)や「移動時間に課題などをすすめる」(35.4%)、「乗換ルートで移動時間を短縮させる」(26.5%)など移動時間に関する意見が目立っています。
さらに、「倍速で視聴する動画の速度」については、「知識・情報を得るためのコンテンツ」では「2倍速視聴」が26.3%、「倍速なし」は8.5%にとどまりました。一方、「映画」における「2倍速視聴」は9.3%となり、コンテンツによって視聴速度が異なることが明らかとなりました。
次に、「何もしない時間」と「予定の詰め方」について聞いてみると、全体の61.4%が「何もしない時間が好き」、58.0%が「予定を詰め込まず余裕をもちたい」と回答しており、効率の悪い日を作るために、効率のよい日を作る。思い切り効率の悪い日を楽しみたい」といった意見が聞かれました。
さらに、「何もしない時間」について聞いたところ、全体の67.1%が「何もしない時間が欲しい」と回答していることから、若者は「効率的」な時間を大切にしつつも、それとは逆の過ごし方にも魅力を感じていることがうかがえます。
そこで、「デジタルデトックスとして行なっていること」を教えてもらったところ、「睡眠」(26.9%)、「散歩」(19.7%)、「友達との会話」(18.7%)が上位に挙がりました。
一方、「デジタルデトックスとして行なってみたいこと」では、「自然界隈(※高原や川などの自然を好むコミュニティ)」(16.1%)、「銭湯・サウナ」(10.2%)、「散歩」(10.0%)などが上位となり、Z世代にとっては効率的な時間の使い方が当たり前だからこそ、そうではない時間の大切さを感じて 「なにもしない時間」や「デジタルデトックスな時間」の需要が高まってきていることがうかがえました。
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【出典】
▽SHIBUYA109 lab.