交通事故にあった瀕死の子猫は、亡き愛猫にそっくり 病院で奇跡の回復、家族に笑顔を届ける存在に

渡辺 陽 渡辺 陽

チパコさんは、福島県で5匹の保護猫たちと暮らしていました。アイル、チッパ、トメ、武士子、ブリオといった猫たちは、全員が保健所や公園からの保護猫です。そんな彼女に、新たな家族が加わったのは、2023年8月4日のことでした。その名は「うにちゃん」。生後わずか2ヶ月ほどの女の子です。

運命的な出会い

うにちゃんとの出会いは偶然の一瞬から始まりました。炎天下の交通量の多い道路で、通りすがりの人に助けられたうにちゃんは、危険な状況で横たわっていました。偶然通りかかったチパコさんの夫が、うにちゃんを保護し、自宅へと連れて帰ることに決めたのです。夫から「アイルに似ている子を保護した」との連絡を受けたチパコさんは、すぐにうにちゃんに会いに行きました。

「実際に会ってみると、確かにうには亡きアイルの毛色に似ていて、まるでアイルが戻ってきてくれたかのように感じました。アイルは今年5月に慢性腎不全で亡くなったばかりで、『アイルがまた私に会いに来てくれたんだ』と信じるようになりました」

奇跡の回復

うにちゃんを家に迎えた初日は、呼吸が荒く、命が危険な状態でした。すぐに動物病院で治療を受けましたが、医師からは厳しい状況であると告げられました。次の日、別の病院で再度治療を受けた結果、驚くことにうにちゃんは回復し始めました。この時、うにちゃんは生後45日ほどであることがわかり、チパコさんの家族の一員となる運命が決定的となったのです。

名前は、チパコさんの娘が「雲丹(うに)」の色に似ているからと命名しました。うにちゃんは物怖じしない性格で、初めての環境にもすぐに順応しました。

「特に、車にひかれたことで壊死してしまった尻尾がちぎれてからは、身軽になったようで、家の中を楽しそうに走り回っています。アイルの火葬後、一緒にいたいと分骨して持ち帰ったのは尻尾の骨だったということも、うにとの縁を感じました」

うにちゃんは、体の一部に障害が残っても、それを感じさせない活発さで、チパコさん一家にたくさんの笑顔を届けています。

うにちゃんを迎え入れてから、チパコさんの生活は一変しました。怪我のケアや食事、トイレなど、うにちゃん中心の生活となり、どうしてもシニア組との時間が減ってしまったそうです。しかし、うにちゃんがチパコさん一家に与えた新たな活力と、失われた命が再び巡り合うような運命的な出会い。うにちゃんは、これからも彼女たちに笑顔と幸せを届けてくれることでしょう。

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