埼玉県在住のS美さん(20代・会社員)のスマホに、高校時代の友人・Y子からメッセージが送られて来ました。内容は「借りっぱなしの本を返したいから会えないか」…というもの。
突然のことでしたが、卒業以来なんとなく疎遠になってしまっていた懐かしい旧友からの連絡にS美さんは心を躍らせました。
Y子は変わらず元気にしているのかな。また同じ趣味の話で盛り上がれるかも…と、そばにいた彼氏に目をキラキラさせてスマホの画面を見せました。すると、彼氏からは思わぬ反応が…。
「怪しくない?」
彼氏はスマホに表示されたメッセージを一瞥し、まさかの一言!
「大丈夫? 何か怪しくない? マルチ商法や宗教の勧誘だったら、どうするの?」
確かにそういう話は聞くけど…いきなり頭ごなしに身も蓋もないことを言わないでよ、とS美さんはがっかりしてしまいました。
高校時代に仲間と過ごした時間は本当に楽しくて、Y子とのことも大切な思い出の一つです。少しも警戒しなかったかと言えば嘘になりますが、S美さんの中ではY子のことを信じたい気持ちの方がずっと大きかったのだそうです。
怪しむ彼氏をよそに、S美さんは旧友と会う決意をしました。
変わらぬ旧友の姿!でしたが…
待ち合わせ当日、時間通りに現れたY子は昔と変わらず、屈託のない笑顔で声をかけてきました。そうそうこの感じ、ああ懐かしい…!
落ち着いて話せる方がいいだろうと、半個室の雰囲気のいいカフェを選びました。
さて、本も返してもらい、早速思い出話に花を咲かせようとしたS美さんですが、…Y子がバッグからおもむろに取り出してきたものを見てげんなり。
見たこともないパッケージの水と、サプリの数々。Y子はギラギラした目つきで、いかにそれらの商品が「スグレモノ」であるかを語り出しました。
…彼氏よ、あなたの予想は的中していました。今私は、バリバリのマルチ商法の勧誘を受けています…。
そこからの時間はS美さんの中で無為なものに変わり、その日はなあなあに話を切り上げて帰路につきました。しかし、なんとなく悔しくて彼氏にはその後の報告はしなかったそうです。
「苦い思いはしたけど、勉強になったと思い、気持ちをサクッと切り替えました」と語ってくれたS美さん。
久しぶりの友人からの連絡は嬉しくもあり、こういうケースも少なくはないというのが現実です。人を信じる気持ちを忘れたくはありませんが、ほんの少し心構えをしておくことも必要かも知れませんね。
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国民生活センターによると、「マルチ取引」に関わる相談件数は近年減少傾向にあるものの、割合としては20歳代までの若者の相談件数が突出しているとのこと。甘い言葉には、くれぐれもご注意を…。
【出典】
▽国民生活センター/2023年度 全国の消費生活相談の状況
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20240807_3.pdf
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