こうして今年5月、「世界で一台しかない」オリジナルの木製カーが誕生した。1人乗りマイクロカー(ミニカー)は道路交通法では普通自動車、道路運送車両法では原動機付き自転車の扱い。公道で走るには普通自動車免許が必要となる。ブレーキ調整など安全点検を行なったのち、市町村に届けてナンバーを交付してもらい、自賠責保険にも加入。準備は整った。
「ガソリンを入れ、初めてエンジンを始動したときは鳥肌がたちました。公道に出たときはちょうど燕の赤ちゃんが巣から青空へ向かって、初めてピューッと飛び立っていく感じ(笑)。ドキドキでした」
その後、近所や八代市内まで遠出するなどして現在までに80キロほど走行。交差点で停まっていると、やはり注目を浴びる。「知らない人が手を振ってくれたり、子供たちが寄ってきたり。かなり照れますけど、嬉しいですね」
少年時代から70年の月日を経て、ようやく叶えた夢。「公道で走れる車を木で作るなんて夢物語だと思っていましたが、やればできるんですね」。ちなみに役場で交付してもらったナンバープレートの番号は選ぶことができないそうだが、偶然にも「・70」だったという。
今後は、非売品として工房のショールームで展示する予定という。古島さんは「ぜひ見に来ていただいて、木工の楽しさや魅力、こんなものまでできるんだという可能性を肌で感じてもらえたら」と話している。
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