「1億8000万円なんて小さなお金だった」執行猶予を終えた青汁王子、 今だから語れる脱税事件「自分の中での真実」

「青汁王子」独占インタビュー

山脇 未菜美 山脇 未菜美

約1億8000万円を脱税したとして、有罪判決を受けた実業家「青汁王子」こと三崎優太さん(35)が、昨年9月で執行猶予4年を終えた。今だから語れる事件のこと、世の中に対して思うことを語った。(独占インタビュー1/4回目)

取材場所は、「青汁ヒルズ」と呼ばれる東京都渋谷区の一等地にあるマンション。自宅に入ると、PRADAのTシャツを着た三崎さんが迎えてくれた。部屋にはルイ・ヴィトンのトランク型机などが配置され、まさに豪邸。脱税事件の話になると、三崎さんは言った。「自分の表現で話してもいいんでしょうか…?僕の中での真実もあるので」

2019年2月に法人税法違反などの疑いで逮捕され、9月に懲役2年・執行猶予4年の有罪判決を受けた三崎さん。起訴状などによると、簿外資金をつくるため、知人が管理するペーパー会社の口座に会社の資金を送金。架空の広告宣伝費などを計上して会社の所得を隠し、税金計約1億8000万円を免れたとされる。三崎さんは裁判で「経営者としての認識が甘く、反省すべきだと思っている」と述べた。しかし、逮捕に至るまでの経緯で納得できない部分があったという。

逮捕までの1年間

17年に発売した「すっきり青汁フルーツ」がヒットし、会社の年商が130億円超に。逮捕されたのは、メディア露出を増えていた頃だ。馬を2億円で買って馬主になったり、芸能人と遊んだり…と〝お金持ちの遊び〟は一通りやったという。

そんな中、国税局の調べを任意で受けるようになったという。「知人にお願いした1億8000万円が納税されていなくて、容疑をかけられてしまったんです。預ける時に『納税してほしい』と伝えたのに、納めてくれなかった。僕に知識が足りなかったと言われれば、それまでですが…」。当時、会社の利益は42億円あり、14億4000万円を納税していた。「僕からしたら1億8000万円なんて、小さなお金だったんです。納税額の数十%だから。すぐに払えますという話もしました」と説明する。

それでも、取り調べは続いた。いつしか「青汁王子が脱税している」との情報が洩れ、手のひらを返して人が離れていくように。疲れ切った三崎さんには「14億も納税しているのに、国に貢献するのがばからしい」と18年末、国籍を購入できるマルタ共和国に移住した。「今思えば、逃亡の恐れがあると見られたのかな。取り調べの時は戻ると伝えたんですが」。帰国後に逮捕された。

お金持ちの転落劇を発信

「脱税したお金で遊んでいた」「脱税したお金で馬を買った」と誹謗中傷を浴び、全てを失った。「1億8000万円という金額が嫌だった。馬は2億円弱するし、脱税したお金じゃ買えねえし。すごい頭にきて。だったら、裁判の判決が出た次の日に、1億8000万円を国民のみんなに配ろうと」。ちょうど、ZOZO創業者の前澤友作さんが、SNSでお金を配っていた時期。罪がなくなる訳ではないが、“贖罪寄付”として脱税額を配る計画を立てた。

当時、Xのフォロワーは1~2万人。だが、金持ちが転落する様子を描けば当たりそうな予感があった。「軽い気持ちで、『会社だめになりました』みたいな投稿したら、『ざまぁ』みたいな返信がいっぱいきて(笑)これだ!と、思って。ピエロになりきりました」。転落劇はYoutubeでも展開し、執行猶予を終える頃には、登録者が100万人を超えた。

這い上がる原動力は?

でも、どうして這い上がることができたのだろうか。原動力を尋ねると、三崎さんは「怒りですね。悔しい、悔しい、と思ってやってきましたから」と即答。

そして怒りは今、政治にも向いている。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が話題になった際には、Xで持論を展開。「政治家が実際の収入をごまかして、5年間で5億円あまりを組織的に裏金として着服していた。何で一切お咎めもないわけ?」と綴った。

「脱税事件を踏まえて思ったのは、世の中は差別であふれているってことです。自分の脱税以上のことをやっている人が、しかも国を代表すべき立場の人が許されて、何も言われないんだろうって。純粋に、思うんです」

三崎優太(みさき・ゆうた) 1989年3月29日生まれ、北海道出身。18歳で起業し、株式会社メディアハーツを設立。17年に「すっきりフルーツ青汁」が累計1億3000万本を販売し、年商130億円を突破した。19年に法人税法違反などの疑いで逮捕され、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を受けた。現在はインフルエンサーとして活躍する。

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