「壊れてどうしようもない」ベースが「ドラム椅子」と融合→「新たな椅子」に 制作した人に聞いた

山本 明 山本 明

 壊れたベースのボディに、やはり壊れてしまったドラムスローン(ドラム椅子)のパーツを合わせて制作したユニークな「椅子」の画像が「X」で話題になりました。なぜこのような椅子を作ろうと思ったのか、制作者に取材しました。

 椅子を制作し、写真を投稿したのは大阪のライブハウス「寺田町Fireloop」の店長さんでPAエンジニアでもある、「足立 浩志(Fireloop)」(@adatinc)さんです。

10万もの「いいね」が!

 ポストは大きく注目を集め10万もの「いいね」がつきました。さらにリプライ欄や引用ポストにて、壊れた楽器に新たな用途を与えたアイデアを称える声が多数寄せられました。同時にかつて楽器だったものに座ることへの抵抗感を示す声も届いています。

寄せられた数々の声に、自身の見解を投稿

 たくさんのコメントに対し、足立さんは後日、
「例のバズった椅子について色々ご意見いただいてるので、ワシの見解置いときます!」
 と自身の思いをポストしました。

 投稿ではまず、賛辞の声に対して
「ですよね!できた瞬間ワシもテンション上がりました」
 といい、そのうえで
「が、世の中にはこの5千億倍くらい手が込んでいて素晴らしいプロダクトが数多くあるのに秒で作ったコレがめちゃめちゃバズって心苦しい気持ちもちゃんとあります」
 と話します。

 さらに元楽器だったものを座面として再利用することは受けいれがたい、という声に対しては
「あなたは正しい。私も楽器弾きなので気持ちはよくわかります」
 と同意したうえで、リサイクルした理由を
「買値が新品1万円くらいの物(メーカーは秘密)で割に合わない」
「レンタル用に間に合わせで買ったモノなので愛着はそんなにありません」
 などと述べ、
「これが仮に『人から譲り受けたもの』だったら椅子にはしないな、という絶妙な存在なんですね、楽器って。神っぽい、というか。神聖なものっていうか。勉強になりました」と結んでいます。

さらにくわしく話を聞いた

 上記ポストでは、話題になった椅子を「秒で作った」という足立さんですが、制作時のことをお聞きすると、実際には「余ってた廃材を組み合わせて、10分くらいで作りました。あくまでジョークグッズのつもりでした」と話し、「ライブハウス、つまり音楽の最前線という立場である僕が思うよりもっと『楽器』に対して畏怖を持つ人たちの存在を感じ反省しています」と楽器を愛する人たちへの敬意を真摯に語りました。

 そのうえで、「逆に、これがバズるんだー?って。興味は尽きないですね〜」と驚きを隠せない様子の足立さんはさらに、「ただ、『おもしろい!』『かっこいい!』『すき!』『ほしい!』みたいな、ポジティブでウキウキワクワクした反応もたくさんで、『バズり』をいっぱい楽しませていただきました!みんな面白くてくだらないモノ大好きなんだな〜」と自身のポストが拡散したことへの喜びを話しています。

現在、この椅子はどこに?

 またこちらの椅子は現在どこに置いているのか、について「試しに楽屋に置いてます。ツルツルなので座る時は慎重に座ってください。座ると不思議なフィット感です」と足立さんはポストしています。

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