10月に投稿された画像が話題になりました。そこには、枯れた植物の陰からまるでこちらを覗き見しているような真っ赤な顔のようなものが写っています。手に取ると、3個に分かれた赤い実のようなものがあり、その内側に白いタネが見えます。そのタネに眼のような黒い点があって顔みたいに見えたのでした。
画像を「恥ずかしながらミョウガの実を初めて見た。」と投稿したのは、「星(富田)昇 @湯本森・里研究所(ゆもり研)」(@hoshitomita)さん。「赤いのが割れた果実で、黒いのが種子、白いのはその皮」なんだそう。ポストには、ミョウガにこんなに赤い実がなるなんて!と、驚く声が寄せられています。いろいろな条件が重ならないと実をつけることはないそうで、ミョウガを育てているという人もほとんど見たことがないようです。
「こんなに赤くなるのか!」
「白い歯🦷みたいなのが実ですか?」
「種(?)が眼球に見えてどうしてもクリーチャーっぽく見えちゃいますすいません…」
「見た目がミャクミャク様のお友達みたいでとっても良いです。」
「たこさんウインナーみたいですね!何十年と庭の茗荷と付き合ってますが、初めて見ました😳」
反響を受けて、次の日にあらためて写真を撮りに行った星さんにお話を聞きました。
──ミョウガの実だということは、見た目でわかったのですか?
はい。私は植物学が専門で、地元で自然観察ガイドをやっているのですが、草刈りをした後に何か赤いものが落ちているのを見つけて、よく見たらミョウガの花序(食べる部分)から果実が裂けて飛び出ているというのがわかりました。
──最初に見たときのご感想は?
花は見たことがありましたが実は見たことがなく、しかもあのような奇抜な姿をしているのも知らなかったので驚きました。ガイドをやっているのに知らなかったので「恥ずかしながら」というコメントとともに投稿したのですが、後で調べたらミョウガはめったに実をつけない植物だそうで、「恥ずかしながら」は余計だったかなと思いました。
──白い花は見たことがある人もいましたが、実は見たことがないというコメントばかりでした。こちらはご自宅のお庭なのですか?
自宅ではないですが住んでいる集落内です。いろいろなところで昔植えたものが増えていて、みなさん扱いに困っている感じです。少なくとも二カ所で、それぞれ多数結実しているようです。
──薬味のミョウガは美味しいですけど、どんどん増えるとやはり困ってしまいますね。
ミョウガの実を初めて見たという人はもちろんのこと、食べている部分が花の集まりだということを初めて知ったという方がけっこういて、身近な植物にもおもしろい現象があるということを知っていただくきっかけになったとしたらうれしいです。なかには「これを見てミョウガが食べられなくなりました」という方もいたのは申し訳ありませんというほかないですが。
◇ ◇
星さんは後日、「ミョウガの実サラダ」を食べてみたと投稿。
「意外にも赤い果肉の部分はおいしい。ミョウガ本体よりみずみずしくて、シャキシャキした歯応え。ミョウガ独特のエグみはほとんどなく、香りが少しある。これはミョウガの味が苦手な人でも食べられるかも!まず見た目でアウトかも知らんが。」
機会があれば食べてみたいですね。
■星(富田)昇さんは、一般社団法人「湯本森・里研究所」(ゆもり研)を主宰。福島県天栄村湯本地区でムササビ観察会や日本最大級のミズナラの巨木を訪ねるツアーなど、この地区ならではの自然観察ガイドツアーをおこなっています。
・「湯本森・里研究所」公式サイト https://yumoriken.com