草笛光子と真矢みき 俳優藤間爽子が大先輩から教わったこと 「叱ってくれる人は大切」出演映画からの学び

磯部 正和 磯部 正和

 

 2021年に三代目藤間紫を襲名し、日本舞踊の紫派藤間流家元となった藤間爽子。一方、日曜劇場『マイファミリー』や連続テレビ小説『ブギウギ』などで瑞々しい演技を見せ、俳優としても活躍の場を広げている。最新作映画『九十歳。何がめでたい』では、草笛光子、真矢みきというベテラン俳優と孫・娘という関係で出演。作品を通じて俳優としても、人としても感じることが多かったという――。

草笛さんは非常事態も楽しんでいる

 直木賞作家・佐藤愛子の人気エッセイを映画化した『九十歳。何がめでたい』。藤間は草笛光子演じる愛子の孫・桃子を演じている。劇中では草笛、愛子の娘・響子役の真矢みきという俳優界の大先輩と現場を共にした。

 「お話をいただたとき、草笛さんがおばあちゃんで、真矢さんがお母さんなんて、恐れ多くて『私で大丈夫ですか』と言うぐらい豪華メンバーに、すごく緊張していたんです」

 しかし現場に入ってみると、そんな藤間の心配はすぐに吹き飛んだという。

 「とにかく草笛さんも真矢さんも、私に対して一役者として、一人の人間として接してくださるので、すぐに溶け込むことができました。とても人柄が素敵な方で、まったくピリピリしたところがないんです。私はまだ映画やドラマの撮影のときは、すごく緊張するのですが、本当のおばあちゃんやお母さんに会いに行くような空気感を作ってくださいました」

 特に草笛は百戦錬磨で、現場での立ち振る舞いは、見習うことばかりだった。

 「とても自然体で素敵なんです。現場ではハプニングが起こるものですが、そんな非常事態も楽しんでいらっしゃるところが、本当に格好良かった。私とは3倍ぐらい年齢が違うのですが、自分が90歳のとき、こんな素敵にお仕事ができているのだろうか…と考えると、足元にも及ばないと思います。草笛さんを見ていると、お芝居が素敵なことはもちろんですが、人柄の良さというのも、俳優にとって大切な要素なんだろうなと学びがありました」

最近叱ってくれる人が減った

 さらに作品の持つメッセージにも共感することが多かったという。劇中、草笛演じる愛子が、テクノロジーが進歩しコスパ、タイパが重視される世の中に対してボヤくシーンがある。そして信じる道をまっすぐ進む愛子の潔さは、多くの人の心を動かす。

 「最近叱ってくれる人が減った気がします。いろいろなハラスメントが叫ばれるようになり、叱りづらくなっていますよね。相手に何か言うのもパワーがいるし、責任もありますからね。でもどこか若い人たちも叱ってくれる人を欲している気がするんです。もちろん、そこには相手のことを思って…ということは大前提ですが。私自身も、しっかりダメなものはダメと言ってくれる人はほしいですし、自分にとっても大切だと思うんです」。

 2024年は、三宅唱監督の『夜明けのすべて』に続き、2作目の映画公開となる本作。精力的に俳優業も行っている。

 「映像のお仕事をさせていただくようになったときは、とにかく緊張ばかりであまり余裕がなかったのですが、最近ほんの少しだけ周囲が見えるようになってきました。そのなかで大切だなと思ったのが、人との出会いです。この映画も『大名倒産』という映画でご一緒させていただいた前田哲監督から声を掛けていただいたというきっかけがありました。そして草笛さんや真矢さんのお芝居を近くで見ることができたことも、これから先の大きな糧になると思うんです」。

 そんな藤間の未来予想図とは――。

 「正直あまり先のことまで考えていないんですよね。いまやっているお仕事、映像も、舞台も日本舞踊も、続けられるのならばずっと続けていきたいという思いはあります。もちろん辛かったり悩むこともありますが、好きなことで悩めるってとてもいいことじゃないですか。だからこそ、ジャンルにこだわらず縁を大切に、素敵な作品に巡り合えたらなと思っています。またいつかは、出るだけではなく企画する側になれたらいいな……なんて思うようになってきました」

映画『九十歳。何がめでたい』は6月21日より全国ロードショー

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