交通事故に遭い、這いつくばって逃げる猫 「なんとか救いたい、でも治療費が出せない」…勇気ある決断がもたらした“奇跡”

渡辺 陽 渡辺 陽

2019年11月、関東地方のある地域のボスである白黒の猫が車にはねられた。猫は後ろ脚を引きずり、這いつくばって逃げるところを通りかかった人に保護され、一旦警察に運ばれた。その後、Aさんが保護したという。Aさんは、ずっと白黒猫にご飯をあげていた人だった。白黒猫は後にシロちゃんと名付けられた。

 Aさんは、シロちゃんの怪我が治った時に狭く無いようにと、大型の2段ケージを買った。シロちゃんをケージに入れる時に咬まれたが、それでも助けたいと思ったという。

「病院へ連れて行かなければならないことはよく分かっていました。でも、近くの病院では何十万もの医療費がかかると言われました。あればもちろん出します。でも、その時出せる金額は決まっていて、色々と考え、悩みました。どうしたら自分で目の前の子の治療をしてしてあげられるか考えました。」

 

Aさんの「何とかして治療してあげたい」と強く思い、勇気を出して愛護団体NPO法人ねこけんに相談した。ねこけんの代表が、「連れて来てください。手伝います!助けましょう」と伝えると、Aさんはすぐにシロちゃんを連れて来てくれた。

シロちゃんは白黒の桜耳の男の子。まだ若い猫のようで歯がきれいだった。後脚は横座りしかできず、オシッコでビシャビシャになっていて、どこかから出血もしていた。早速シーツを替えて、病院で診察してもらい、なんとか金銭面で折り合いがついた。Aさんは、治療後は「自分で、自宅でみます!」と言ったという。

リハビリに励む

 

シロちゃんは順調に回復。背骨を固定していたプレートを外す手術を受け、表情も生き生きしてきた。背骨が折れているため、下半身が痲痺していて、立ち上がることができないが、神経は生きているようで、足をモゾモゾと動かすことはできる。リハビリを続けていけば、立ち上がれる可能性もあるという。

Aさん夫妻は、シロちゃんが再び歩ける日を信じて、一生懸命リハビリをしているそうだ。交通事故に遭ったり、道路上で死亡したりする猫の頭数は殺処分される猫の頭数の10倍(2019年)と言われている(人と動物の共生センター調べ)。怪我をしてうずくまっていても誰も見向きもしないこともある。シロちゃんはとても幸運な猫だった。

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