2019年7月、ミーナちゃんは、突然、東京都にある倉庫の前に現れた。その地域では見慣れない猫だった。三毛猫なので女の子。愛護団体NPO法人ねこけん(以下、ねこけん)は、このまま放っておいては妊娠して、猫が増えてしまう可能性があるため保護することにした。
しかし、いざ捕獲!と思っても、そう都合のいい時間帯に来てくれるわけではない。まずは保護するために朝ごはんをあげてみたら、数日すると周囲にいるようになった。
「近くで見るとお尻のあたりに怪我をしていました。その後、どこかから出血していることも確認し、捕獲器を用意したのですが、思いのほか簡単に触れて、キャリーを置いてお尻をポンと叩いたら、すんなり中に入ってくれました」
こうして保護猫になったミーナちゃん。すぐに病院で診察を受けると、アレルギー体質であることが分かった。
「アレルギーのある、人に慣れた三毛猫を外に戻す事は到底できません。みんなの前に現れてから、
みんなが心配していた三毛猫だったので、『み~んなのミーナ』と仮名が付けられ、保護猫生活が始まりました」
ミーナちゃんはすぐにアレルギーの治療を始めたが、良くなったり、悪くなったりを繰り返した。その後メンバー宅で、本格的にアレルギーの治療を始め、フードをいろいろ変えてみたり、定期的に通院をしたり、検査をしたりした。
「その甲斐あって、ミーナは少しづづ、元の姿に戻ってきました。アレルギーと向き合うことは、とても大変なことです。何よりも、症状が悪化した時のケアは心身ともに疲労し、心配のあまり眠れないこともありました」
アレルギーで里親が見つからない
そして迎えた譲渡会。多くの愛らしい子猫達に囲まれた譲渡会で、ミーナちゃんはアレルギーのことを懸念され、なかなか御縁に繋がらなかった。
「それでもみんな信じていました。ミーナにもちゃんと赤い糸が繋がっている!アレルギーも個性の一つだ、ありのままのミーナを愛してくれる人がいる!と」
ねこけんの代表は、「なかなか家族が決まらない子って、待っている人がいるんだよね。その人と出会うまで御縁に繋がらないんだよ」
ミーナと出会うのを待っていてくれる人がいる!きっと出会えるミーナが待ち望んでいる人が。誰もがそう信じて、譲渡会に参加し続けたミーナちゃん。
「何度目かの譲渡会で、ミーナの前で足を止める御夫婦がいました。『私もアレルギーを持っているので、ミーナちゃんの気持ち、よく分かります!ぜひ、うちで一緒に暮らしたい』と言ってくれたのです」
無事譲渡されたミーナちゃん。里親からは幸せそうな家族写真と一緒に、「今後もアレルギー体質のミーナさんは病院に通うことが多くなるかもしれませんが、責任をもってお世話をしていくので安心してください。アレルギーがあっても、それがミーナの個性だと思って生活して行きます」というメッセージが送られてきた。ねこけんの代表とメンバーは嬉しくて号泣したそうだ。