急にインターネットにつながらなくなって困ったことのある方は多いと思う。今、SNS上ではそんな時に大きな助けになってくれそうなキットが大きな注目を集めている。
「『インターネットにつながらなくなったら開ける箱』をつくった!」と件のキットを紹介したのはダーシノさん(@bc_rikko)。ダーシノさんはフロントエンドエンジニアでさくらインターネット株式会社にお勤め。2018年にファミコン風CSSフレームワーク「NES.css」を開発し話題になった人物だ。
「インターネットにつながらなくなったら1→2→3→4の順で10秒間隔で押す」と書かれた箱。1はボタンとプラグをBluetooth接続、2はボタンにプラグのON/OFFをマッピング、3はルーターの電源にプラグを挟む、4は番号どおり押すとルーターが再起動するという具合に設計されているようだ。煩雑な動作を4つのボタンに集約した、プロならではの技術…。今回の投稿についてダーシノさんにお話を聞いた。
実家の母の悩みを解決
ーーこの箱を作ろうと思われた経緯を。
ダーシノ:実家の母から「ときどきインターネットにつながらなくなる」と聞いていました。頻度も原因もわかりませんが、ルーターを再起動することで改善するようでした。実家に帰省したタイミングで調査し、瞬間停電、猫のいたずらなどが考えられたのですが根本原因の排除まではできませんでした。そのため、まずはルーターを簡単に再起動できる装置をつくろうと思い、今回の投稿に至りました。
ーー苦労したこと、こだわりのポイントなどあればお聞かせください。
ダーシノ:【1】小難しい操作を隠蔽し、UI(ユーザーインターフェース)を単純化する
Wi-Fiルータ、ONU の順に電源を切り、放電を確認してから今度は逆順に電源をつける。たったこれだけの操作でも、ITに苦手意識を持っていると「よくわからない箱を触るのは怖い」「壊れたらどうしよう」という不安がついてきます。このような手順を隠蔽し、「10秒間隔で1〜4のボタンを番号順に押す」のようにUIを単純化することで不安を感じさせないように工夫しました。
【2】物理ボタンを使う
使用したスマートプラグはスマホアプリから操作することも可能ですが、あえて物理ボタン(リモートボタン)を採用しました。フロントエンドエンジニアという職業柄、以前から両親がタブレット(iPad)を操作するところをよく観察していました。
アプリを探すのに手間取ったり、手指の乾燥のせいかタップが反応しなかったり、反応までのレイテンシーがあるため何度もタップしたり、いろいろな課題がありました。そのため「カチッ」と押し込んだ感覚が得られる物理ボタンで操作できるようにしました。
【3】Bluetoothで操作できる製品を使う
多くのスマートプラグはインターネット接続が必須で「インターネットにつながらないとき」に使えません。また、実家のルーター類は玄関においてあり、居室から壁を挟んで数mあるため赤外線リモコンやスイッチ付き電源タップも使えません。そのため、インターネット接続不要でBluetoothで操作できる製品を選びました。
ーー反響を呼んだことについて。
ダーシノ:高齢者にこそIT技術は必要ですが、うちの両親、親戚ふくめ苦手意識を持っている方が多いように感じます。「インターネットにつながらなくなったら開ける箱」もアプリの初期設定やBluetoothのペアリングなど面倒な部分があります。私たちにとって簡単なことでも、難しくて理解できない方もいます。今回のツイートは小さなアイデアですが、そんな方々のちょっとしたストレスを取り除くきっかけになれたらうれしく思います。
◇ ◇
SNSユーザー達からはこのキットに対し
「これいいですね!いつも順番わからなくなるので」
「30秒も経ったら、インターネットに繋がらない悲しみが癒えるんですね!」
など数々の感謝の声が寄せられていた。読者のみなさんも、身近に高齢の方や接続作業の苦手な方がいる場合はぜひ参考にしていただきたい。
ダーシノさん関連情報
Xアカウント:https://x.com/bc_rikko
ブログ:https://kuroeveryday.blogspot.com
NES.css:https://nostalgic-css.github.io/NES.css/