こじれた夫婦関係…修復か離婚か、どう判断する? 専門家らが考える「一発アウト」のサインとは

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やはり夫婦問題は早期発見、早期治療

――日本はカウンセリング文化が根付いておらず、困っているにも関わらず夫婦カウンセラーにアクセスする人が少ないように感じます。どのような方に夫婦カウンセリングを受けてほしいですか?

渡辺:やはり夫婦問題は早期発見、早期治療なんですよ。あまりこじらせてしまうと修復できるものも難しくなることがあるので、少しでも違和感があれば早めにカウンセリングを受けてほしいと思います。

高草木:インターネットの情報だけではなく、リアルな情報を受け取ったうえでいろいろな選択肢を知りたいという方に来てほしいです。

自分だけで悶々と考えてもわからないし、ネットに載っているケースが自分に当てはまるかどうかもわからない。自分のケースについて一緒に考える存在がいると、すごくいいと思うんですよね。

すみよし:ネットで回答しているのは一般の方が多く、それを読んで余計に悩む方もいるようです。

高草木:「別居〇年以上で必ず離婚できます」「探偵は〇万円以上かかります」など、誤った情報が流れている場合もあるので注意が必要ですよね。

すみよし:あとは経験者のお友達に相談するケース。お友達の時はそうだったかもしれないけれど、自分が同じようにしたからといってうまくいくとは限りません。

――一人ひとりにカスタマイズした提案をしてもらえるのがカウンセリングならではの良さですね。

大野:夫婦によって背景は違いますから。子どもがいる/いないであったり、子どもの年齢であったり、そのご家庭の事情を知らなければよいアドバイスはできません。

夫婦カウンセラーの中にも、たとえばDV案件に強いカウンセラーさん、熟年離婚に詳しいカウンセラーさん、男性に寄り添ったカウンセラーさんなどたくさんの選択肢があるので、「風邪をひいたら内科に行く」といった感覚で私たちを選んでくださればと思います。

一生を左右するかもしれない内容なので、セカンドオピニオン的に何人かのカウンセラーとお話されて、ご自身に合う方を選んでいただきたいですね。

すみよし:カウンセリングが最初の1回だけでもいいので保険適用になればいいのにと思いますね。

大野:本当に。3割負担でもいいです。

まるで身内のように、とことんまで寄り添う存在でありたい

――最後に、相談者にとってどのような存在でありたいか教えてください。

渡辺:カウンセラーは昔でいう「おせっかいおばちゃん」なのかなと。核家族になって子育ても大変ですし、夫婦のもめ事も外からは見えません。イライラしている人にあえて「大丈夫?」と声をかけて話を聞く。そしておせっかいを焼きつつ伴走する存在でしょうか。

高草木:私は「相談者」という枠組みよりも「身内」のようなスタンスです。たとえば、お若い方であれば「私が〇〇さんのお母さんだったら、こういうふうに思うんじゃないかな」というふうにお伝えしている。

この人が私の親戚だったら、兄妹だったらどういうふうにアドバイスをするかなと考えると、相手に伝える言葉が重みを持ちますし、相手にも伝わりやすいんですよね。

――相談者としてもそこまで親身になってもらえると、とても嬉しいと思います。

すみよし:私の場合は男性の相談者が多いので、「今まで誰にも話せなかった」という方がすごく多いんですね。そのため否定しないことをお約束して「とにかく全部吐き出して」とお伝えしています。

30代前後の方であればお母さん的な感じで「うちの子だと思って話しちゃうよ」と言ったりして(笑)。何が苦しいのか、何がつらいのか、どうしたいのかを聞きだして一緒に解決するための作戦をたてようというお話をします。

大野:相手の浮気やギャンブルなど……私は自分の経験談を交えながら、割と同じ目線でお話することも多いです。

そうすると親近感を持っていただけるので、ラポール(心理学用語で、主にカウンセラーとクライエントの相互の信頼関係のこと)を築けるんですよね。信頼関係ができると、こちらのアドバイスを素直に聞き入れてくださるので、その後がすごくスムーズに進みます。

私自身は夫のことで悩んだ時にカウンセラーに相談してないんですよ。当時、生後半年の娘をお昼寝させている間にパソコンで過去の裁判事例を調べたりしていました。その時は目の前のことしか見えていなかったけれど、振り返ると、誰かに相談すればよかったと後悔している部分があるんです。

そういう後悔をしてほしくないという思いもあって、同じ目線のお友達であり、お姉さんであり、母親であり……そういう関わりをしていきたいと思っています。

 ◇   ◇

◆高草木 陽光(たかくさき・はるみ)夫婦カウンセラー/「リコ活」専門家
これまで9,000人以上のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人を解決に導くお手伝いをする夫婦カウンセラー。美容師、育毛カウンセラーを経て、結婚して専業主婦となるが、夫の束縛や価値観の押し付けに違和感を覚え「結婚生活とは何か」ということを深く考え始める。書籍に「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」(左右社)、「心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK」(左右社)、メディア実績にNHK総合「あさイチ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、テレビ朝日「羽鳥慎一 モーニュングショー」、「ABEMA Prime」などがある。

◆渡辺里佳(わたなべ・りか)夫婦カウンセラー/「リコ活」専門家
30代半ばで離婚を経験し、子どもたちが成人する頃に「夫婦関係や離婚に悩む人の助けになりたい」「人の役に立ちたい」という想いが膨らみ、2011年、夫婦問題研究家・岡野あつこ主宰の「離婚カウンセラー養成スクール」に通学。 夫婦問題に特化したカウンセリングを学び、同年9月「離婚カウンセラー」資格を取得、52歳でカウンセラーに。
心理を深く学ぶため、日本プロカウンセリング協会認定「心理カウンセラー2級」資格を取得。現在、法務省認証の民間調停機関「家族のためのADRセンター」主催の「パパとママの離婚講座」の講師を担当。ライター、エディターとしても活動している。

◆すみよしひさこ 夫婦カウンセラー/「リコ活」専門家
子どもの成人を待って48歳で熟年離婚を経験。結婚前はピアノ調律師、結婚や出産を経て専業主婦ののちに医療事務の勉強、いくつかのクリニックと精神科クリニックでも受付と医療事務の仕事を経験。2年ほど生命保険のセールスレディも経験。2011年に夫婦問題に特化したカウンセリングの勉強をして夫婦問題相談室「リカプル」を開業。2015年からは匿名電話相談サイトでの専門カウンセラーとしての仕事も開始、さまざまなお悩みのご相談もお受けして経験を積んでいる。

◆大野まり子(おおの・まりこ) 夫婦カウンセラー/「リコ活」専門家
2013年~現在 夫婦問題カウンセラー、ファイナンシャルプランナー(AFP)として活動中。2012年 弁護士をつけずに調停離婚を経験。2013年 NPO法人日本家族問題相談連盟認定離婚カウンセラー資格取得「さいたま夫婦問題カウンセリングセンター」運営 。2019年 2級ファイナンシャルプランニング技能士/AFP資格取得。2020年 夫婦のご縁とお金の円をトータルサポートする「オフィスえん」設立。埼玉県男女共同参画推進センターにて県共催事業で「後悔しないための離婚講座」セミナー主催、家族のためのADRセンター離婚テラスにて「パパとママの離婚講座」講師、他講師実績多数。

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「リコ活」は、夫婦問題の課題解決型メディアです。夫婦関係のトラブルや離婚で悩む人に、専門家とのマッチングの場を提供するとともに、家族のカタチが多様化する時代にあわせた最新情報を発信しています。

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https://ricokatsu.com/

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