戦争が始まり、レナさん一家は、飼っていた愛猫ミルカ(当時3歳)を友人に預けたという。落ち着いたら引き取りにいくはずだったが、戦況が悪化し、友人は国外に避難。ミルカは行方不明になってしまったという。「ミルカはお利口でとても仲良しでした。いま生きていたら6歳くらい。私たちの大事な猫、今は生きているか、死んでいるかもわからない…」
そんなレナさんを見て、徳田院長は保護犬の「ブシャ」(メス、1歳)の面倒をみてもらうことにした。ブシャは元々口に障がいがあり、ブリーダーが「ペットショップでの販売ができない」との理由で手放し、同院に引き取られたシーズー。レナさんは毎日、一人暮らしの自宅から、ブシャと一緒に同院に通っている。「ブシャがそばにいてくれてとてもうれしい。幸せにしてあげたい。いつも私をはげましてくれています」(レナさん)
レナさんは来春まで同院で働き、2025年4月からは同院に併設された動物専門学校に3年間通って愛玩動物看護師の国家資格取得を目指す予定だ。徳田院長は「頑張って資格を取って、日本とウクライナとのかけ橋になってくれたら」と、レナさんを温かく見守っている。
今もハルキウで暮らす両親とは、ビデオ通話でやりとりしている。ハルキウは首都キエフに次いで二番目に人口の多い都市。戦況は悪化しているという。「ビデオで話してるとき、(空爆の)サイレンをよく聞きます。(両親を)愛しているのでさびしい気持ちは大きい。でも、今は看護師になる夢をかなえるのが一番大事。ウクライナでは野良猫や野良犬が増えている。看護師の資格をとってウクライナへ戻り、戦禍に苦しむ動物たちを助けたい」とレナさんは話している。