家庭内で感染することも多い感染症。これを抑えることは家族を守るだけでなく、社会的な蔓延抑制にもつながると考えられます。ライオン株式会社(東京都台東区)が、感染力が高い新型コロナウイルス感染症を事例として「感染症の家庭内感染対策」に関する生活者調査を実施したところ、新型コロナウイルス感染症の家庭内感染を「した家庭」と「しなかった家庭」を比べると、「しなかった家庭」のほうがより多くの感染予防対策を実施していたことが分かったそうです。
調査は、同居家族がおり、自分または家族が新型コロナウイルス感染症に感染した全国の20~69歳男女960人(家庭内感染があった人/なかった人各480人)を対象として、2023年7月にインターネットで実施されました。
はじめに、「感染者発生時の気持ち」について、「他の同居者にはうつらないようにしたいと思ったし、可能だと思った」と回答した割合をみると、「家庭内感染をしなかった家庭」が29%だったのに対し、「家庭内感染をした家庭」では9%、逆に「うつるのは仕方ないと思った」と回答した割合では、「家庭内感染をしなかった家庭」が20%、「家庭内感染をした家庭」では25%と、感染者発生当初の家庭内感染予防に対するモチベーションの高さや、家庭内感染予防をあきらめない気持ちに差があったことが分かりました。
さらに、生活シーンを大きく7つ「衛生全般(手洗い、消毒など)」「住まい」「お風呂」「トイレ」「洗面所」「歯みがき」「衣類、洗濯」「食事」に分けて、それぞれのシーンでの感染対策について調査をしたところ、116項目中102項目で、「家庭内感染をしなかった家庭」のほうが「家庭内感染をした家庭」よりも対策実施率が高かったという結果を得たことから同社では、「さまざまな感染対策を早めに、感染を防ぐ強いモチベーションを持って実施することが、家庭内感染の防止につながる」と考察しています。
次に、「洗面所」や「歯みがき」に関して、「家庭内感染をしなかった家庭」と「した家庭」での実施率をみると、「タオルを共用しない」(しなかった家庭66%、した家庭52%)、「感染者と非感染者は使用時間を分ける」(しなかった家庭47%、した家庭33%)、「歯みがき(口すすぎ)用のコップを共用しない」(しなかった家庭52%、した家庭40%)、「ハミガキを共用しない」(しなかった家庭45%、した家庭34%)など、おおむね12pt以上の差がみられました。
なお、7つの生活シーンにおいて、「家庭内感染をしなかった家庭」のほうがより多く実施していた対策のうち、実施率の差が大きかった対策については、「感染者と非感染者が直接話さないようにする」「日中過ごす部屋を感染者と非感染者で分ける」「感染者は最後に(非感染者より後に)入浴する」などが挙げられたそうです。