「お笑い枠」では終わらない?…物語の流れを変えて、意外なヒーローに 衝撃転身した「ネタキャラ」3選

海川 まこと 海川 まこと

持ち前のユニークさやギャグシーンで物語を盛り上げてくれる「ネタキャラ」。戦闘描写が少ないことからチョイ役かと思いきや、大きな展開をもたらしたり、大出世を果たしたりなど、重要な人物となることもあります。

※この記事には、『銀魂』に登場するキャラの生死にかかわる記述があります。

『ONE PIECE』バギー

大出世したネタキャラとしてまず思い出されるのは、『ONE PIECE』のバギーでしょう。

バギー海賊団船長のバギーは、陽気でお調子者な性格のためにコミカル要素が強く、ムードメーカー的なキャラです。主人公モンキー・D・ルフィとは対立したり協力関係になったりなど腐れ縁的な関係で、派手な見た目も相まって物語序盤から存在感を放っています。「強キャラ」というイメージはないものの、海賊王ロジャーの海賊団に所属していたことや、「海の皇帝」とされる四皇の1人であるシャンクスと対等に会話していることから、周りに一目置かれる存在でした。

また、海賊団の船長を務めたりインペルダウンの囚人を統率して脱獄を図ったりする姿からは、バギーのリーダーシップの高さやカリスマ性が垣間見えます。物語が進み「新世界編」になると、世界政府公認の海賊・王下七武海入りを果たし、「バギーズデリバリー」という海賊の派遣組織を創設して総帥に君臨するなど、ビジネスにおいて成功を収めています。

さらにコミック105巻では、元王下七武海のクロコダイルやミホークと共に、海兵に懸賞金をつける「クロスギルド」を立ち上げました。彼らに戦闘力は及ばないものの、バギーを慕う部下が、クロスギルドのトップが彼であるかのようなビラを配ったことで、バギーが強者2人を従えているように世間に知れ渡ります。その結果、現在バギーは四皇入りを果たしました。ファンの間では「強運とカリスマ性で四皇にまで上り詰めた男」と評価されており、戦闘力以外で世界に名を馳せるという異色の存在感を放っています。

『銀魂』徳川茂茂

また『銀魂』に登場する徳川茂茂も後半では重要な役割を担うネタキャラでした。

幕府のトップに君臨しながら、天人達のトップ「天導衆」に実権を握られるお飾り将軍・徳川茂茂。側近の松平片栗虎と共にたびたび江戸の街に繰り出しては、偶然居合わせた主人公・坂田銀時たちに悲惨な目に合わされてしまう人物でもあります。

将軍として茂茂に敬意を払った行動のはずが裏目に出てしまい、キャバクラでは王様ゲームで裸にされてしまったり、床屋では髷を切り落とされてしまったりなど、将軍なのに散々な目に遭わされるのです。

茂茂のそんな姿はファンの笑いを誘い、「将軍回は爆笑必死ではずれがない」「将軍が出たら神回確定」といわれる人気のネタキャラです。しかしどんなひどい目に遭っても荒ぶることのない懐の深さや、民思いで誠実な一面から周りの人物に慕われ、幕府転覆を目論む攘夷志士の桂小太郎でさえお互いを認め合う仲でした。

しかし、将軍家にも焦点が当たる「一国傾城篇」「将軍暗殺編」では、茂茂はこれまでのネタキャラの印象を封じ、軍を率いる将軍としての凛々しい姿を見せています。また、自らを守ろうと戦う銀時らに加勢しようとクナイを使って敵を制する姿まで見せ、ネット上では「ネタ枠からシリアス枠に変わるってかなり珍しい」「ギャグシーンだけの登場かと思いきやシリアスな回でキーパーソンになっちゃった」などの声があがり、茂茂の予想外の飛躍が注目されます。

結果的に茂茂は亡くなりますが、彼を守れなかった幕府の警察部隊・真選組の解体や、長官の松平、局長の近藤勲の打ち首が言い渡されるなど、登場人物の運命を大きく変える展開をもたらしたのでした。

『BLEACH』ドン・観音寺

また大活躍するネタキャラといえば『BLEACH』のドン・観音寺も忘れられません。

霊能力者であり、子供たちのヒーローを自称して活動する芸能人で、主人公・黒崎一護の妹である遊子やヒロインの井上織姫など多くのファンを持っています。腕を胸の前でクロスして「ボハハハハー」と笑うのが決めポーズで、物語で時折出てくるチョイ役かのように思われました。

そんな観音寺が注目されたのは、戦闘能力ではなく精神性でした。なかでも印象的なのは、作中最大の敵とされる藍染惣右介(あいぜん そうすけ)が空座町に侵攻したときのことです。

観音寺は勝ち目が無いと分かりながらも、いつもの陽気な態度を崩さずに藍染の前に立ちはだかり、「戦いから逃げるヒーローを子どもたちはヒーローとは呼ばんのだよ」と名言を残し、子供を逃がすため身体を張って最強の敵に突撃しました。駆け付けた一護たちの戦いにより命拾いしますが、このエピソードには「出演する番組だけでなく本心でヒーローやってたんだな」「ビビってるのに立ち向かうのがすごい」と絶賛の声があがり、ネタ枠から本物のヒーロー的存在への躍進を見せています。

ちなみに『BLEACH』の小説『BLEACH Spirits Are Forever With You I』では、ドン・観音寺が主人公として描かれているほど、作中でもファンからも注目されるキャラクターです。

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このようにさまざまな作品で登場する大活躍するネタキャラ。なかでも『ONE PIECE』のバギーは今後も大活躍を見せてくれるでしょう。今後も物語にどれだけ影響を与えるキャラになるのか目が離せません。

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