「震災のストレスや不安はワンコも同じ」 能登半島に開設されたわんにゃんデイケアハウス珠洲 スタッフの自問自答は続く

松田 義人 松田 義人

1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」。発災から4カ月以上が経過する今も、被災者は厳しい生活を強いられています。

苦しい思いをしているのはワンコも同じ。人間同様ストレスや不安を抱え、持病の診療もままならない状況です。

これを受け、2月には石川県獣医師会が、能登半島の被災地を巡回し、ペット無料診療と健康相談を行いました。ワンコ連れの被災者にとってもまた、ワンコの健康状態も大きな心配ごとですが、こういった不安を少しでも解消しようとする有意義な試みとして注目されました。

そして、発生時からいち早く現場のペットたちのサポートをしてきたピースワンコ・ジャパンでも、環境省や自治体とも相談した上で、2月から珠洲市内に「わんにゃんデイケアハウス珠洲」(以下、デイケアハウス珠洲)というペット預かり支援施設を開設。主に日中での預かりを実施しています。

震災前より多忙で不安を抱える被災者に代わって

「デイケアハウス珠洲」開設後、最初にやってきたワンコはゴールデン・レトリーバーのきゅろくん。飼い主さんは日中は仕事に出掛けており、「この間に地震が起きることを考えるときゅろくんのことが心配」と日中預かりを要望しました。

また、生後10カ月ほどのポメラニアンのハッピーくんの飼い主さんは自宅が地震と津波で半壊しました。車中泊が続いており、電気の復旧後は自宅の一室で過ごしているそうです。自宅の片付けなどが忙しいため、ハッピーくんの日中預かりを希望しました。

トリミングの要望にスタッフが自力でバリカンを…

「デイケアハウス珠洲」ではこういった依頼を受け、日中預かりを行いますが、さらに要望があれば、できる限りワンコを入浴させたり、石川県獣医師会と連携し医療ケアも行います。

「現状では十分なお世話ができているとは言えない」と担当者は言いますが、それでもこういった支援は、不安を抱える被災者やペットたちの確かな支えになっていることでしょう。

預かり中のワンコのトリミングを希望する声もあります。プロのトリマーは常駐していないため、完璧な対応をすることはできません。それでもスタッフが自力でバリカンとハサミで、固まっていた毛玉を取るなど、できることに取り組んでいました。

スタッフによるトリミングは、プロのそれに比べれば見劣りがあるかもしれません。しかし、スタッフの熱い思いは当のワンコたちにもしっかり伝わっているように思いました。また、現在では、他県からボランティアなどでトリミング支援に来る方も増え、断水が続く珠洲では大きな支えになっています。

「まだまだ十分ではない」としながらも心ある人たちの思いが詰まった「デイケアハウス珠洲」。被災者、そしてペットたちにとって大きな支援になっていることでしょう。

ピースワンコ・ジャパン
https://wanko.peace-winds.org/

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