【ブギウギ】「ズキズキするわ」若き新星に見せつけたベテランの矜持 スズ子とアユミ…19年の時を経て、運命が結んだ歌の“新旧対決”の行方は

佐野 華英 佐野 華英

「きっと歌と踊りの天才になるわ、あんた」ーー。25話、大和礼子(蒼井優)の葬儀で橘アオイ(翼和希)が放った台詞が“ロングパス”となって、美しく決まった。礼子が股野(森永悠希)とのあいだに遺した一人娘で、あのときは「おくるみ」の中にいた赤ちゃんが19年後、新進気鋭の歌手・水城アユミ(吉柳咲良)となってスズ子の前に現れたのだ。

『ブギウギ』(NHK総合)第25週「ズキズキするわ」が今週放送され、物語は残すところあと5話となった。スズ子(趣里)は、年末の大型番組「オールスター男女歌合戦」で大トリをつとめることに。ディレクターの沼袋(中村倫也)が仕組んだ演出によって、トリ前にアユミがスズ子の曲「ラッパと娘」を歌うことになり、事態はさながら“新旧対決”の様相を呈する。

 若い力には到底敵わないと一度はひるむスズ子だったが、「逃げたら、そのことは一生忘れられへん」と、かけっこのライバル登場に悩む愛子(このか)に言いながら自分にも言い聞かせ、本番に臨む。そして歌った「ヘイヘイブギー」はベテラン歌手の矜持を見せつける圧倒的なパフォーマンスで、戦いを挑んだアユミは打ちのめされるのだった。

 最終盤の展開のキーパーソンとなる水城アユミの役どころと、演じる吉柳咲良について、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

勢いがあってエネルギッシュで……アユミにぴったり

「吉柳さんにはヒロインオーディションを受けていただき、年齢的に若かったのでスズ子役には決まりませんでしたが、歌のパンチがとても魅力的で印象に残っていました。台本を作っていく中で、水城アユミ役をどうしようか、ということになり、スタッフのみんなからも吉柳さんの名前が自然にあがりまして。吉柳さんの、若くて勢いがあってエネルギッシュなところがアユミにぴったりだと思います。『ヘイヘイブギー』を歌うスズ子を袖から見ていて、表情だけで語る『敵わない!』というシーンも素晴らしかったです」

スズ子は「ズキズキ」していた

 また、スズ子との“新旧対決”でアユミが歌った「ラッパと娘」についてもふり返る。

「スズ子の歌う『ラッパと娘』とはまた味わいが違って、パワフルで若さにあふれていて面白かったですよね。ステージに向けて吉柳さんはかなり練習を積まれたようです。『ラッパと娘』はとても難しくて、勢いに振るのか、かっこよくクールに歌うのか、どう解釈するかによって歌い方もまるで変わってくる曲。アユミによる『ラッパと娘』は、彼女のキャラクターである『弾ける若さ』『エネルギッシュさ』に振って歌っていただきました」

 さらに、冒頭でもふれた、アユミが赤ちゃんの時に橘が発した台詞の“ロングパス”についても訊いてみると、

「最初から、というわけではないのですが、わりと序盤のほうで脚本の足立紳さんが『大和礼子の娘が将来歌手になって、スズ子の前に現れる。そこでスズ子が何を思うのか』を描きたいとおっしゃっていました。『世代交代』を描く25週で、舞台人としてスズ子の憧れであった大和礼子の娘・アユミを登場させることで、よりスズ子の複雑な感情が立ち上がってくると足立さんは考えたのではないかと。スズ子はりつ子(菊地凛子)に発破をかけられ、アユミが『ラッパと娘』を歌うことを許した後『ワクワクする』と言っていましたが、本当は『ズキズキ』していたんじゃないかと思います」

 と、アユミという存在がスズ子にとっての「ズキズキ」の素になっていると分析した。

 最終週「世紀のうた 心のうた」で、スズ子は自らの「歌」と人生に、どのような決着をつけるのだろうか。

   ◇   ◇

『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00〜11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜〜金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25〜10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)

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