節約をしようと考えたときに多くの人が食費や光熱費の節約を考えます。その理由は、節約効果が高いからではなく「簡単に始められるから」です。
しかし、食費や光熱費の節約は常に意識しなければ効果が出ないため、ストレスになりやすく挫折してしまう要因となります。結婚を機に節約を決意したパート勤務の30歳女性Aさんも、食費や光熱費から節約を始めて失敗したうちのひとりです。
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【Aさんの世帯詳細】
Aさん:30歳 パート勤務(年収180万)
夫:31歳 会社員(年収435万)
世帯手取り月収:40万円
食費:7万5,000円
水道光熱費:2万3,000円(うち電気代1万3,000円)
住居費:家賃12万円(賃貸物件)
通信費:1万6,000円(スマホ2台分)
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Aさん夫婦の1カ月あたりの食費は約7万5,000円、電気代は約1万3,000円です。しかしネットやTVの情報で「食費の理想は収入の15%程度、水道光熱費の理想は5%程度」であると知ったAさんは、夫と話し合い「今日から取り組める」という理由から、まずは食費と電気代を節約してみることに。
今までAさんが仕事で疲れている日などの夕食は、飲食店に頼ることも多かったです。しかし節約のために外食を極力控えて自炊割合を増やしました。しかし、自炊に慣れていないAさんは、毎日の献立を考えることに疲れたり、購入した食材を使い切れずに腐らせてしまったりして、大きなストレスを抱えてしまいます。
さらに、Aさんは寒い日も暖房を使わず、こたつを頼りに寒さを我慢していました。この行動により家の中が寒くて体調を崩しそうになり、節約自体をやめたいと考えるようになりました。
そんなAさん夫婦が食費と光熱費の節約を1カ月間頑張った結果、食費は約5,000円、電気代は約2,000円節約できました。しかし、Aさんは常に節約を意識して頑張らなければならないことにストレスを感じ、「こんな生活続けられない」と翌月からの節約をやめてしまいます。
Aさんがストレスなく節約するためには、どうすべきだったのでしょうか。節約方法に詳しいFPの松本愛さんに聞きました。
節約するときは、通信費や保険料などの固定費から見直すことが大切
――Aさんのように、節約でストレスを抱えてしまう人は多いのでしょうか。
食費や光熱費の節約は常に意識しなければならないため、ストレスに感じてしまう人は多いです。我慢しすぎた節約は長続きせず、ストレスから散財してしまい出費がさらに増えたという声もあがっています。
――節約するときは、まずどの項目から取り組めばよいのでしょうか。
節約するときは、通信費や保険料などの固定費から見直すことが大切です。たとえば、大手キャリアから格安スマホに乗り換えると、1カ月あたり5,000円程度節約できます。一度乗り換え手続きをするだけで、翌月以降は節約を意識しなくても効果が続くため、ストレスを感じることもないでしょう。
ほかにも、以下のように固定費を見直すことで支出を抑えられます。
住居費:家賃が安い物件に引っ越す(収入の25%程度が理想)
サブスク:利用頻度が少ないサブスクを解約する
保険料:加入している保険の補償内容を見直す
固定費の見直しは、食費や光熱費の節約に比べて取り組むのが面倒に感じるかもしれませんが、一度見直しをするだけで大きな節約効果が続くため、早めに見直してみましょう。
◆松本愛(まつもと・あい)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
金融ジャンルの専業ライターとして、お金の知識を分かりやすく伝えるために活動中。さまざまな金融メディアで記事執筆をしており、主に保険、税金、資産運用の情報に精通している。