「大阪市内の公園に袋に入った動物が遺棄されている」との通報が2月22日、動物保護団体のNPO法人「アニマルレスキューたんぽぽ」(以下、たんぽぽ)に入りました。袋に入っていたのは、近年写真や動画がSNSで「かわいい」と話題となり、ペットとしても注目されているチンチラ。通報者に警察に連絡してもらい、たんぽぽのスタッフたちが向かうまで警察で一時保護していたといいます。
たんぽぽの代表・本田千晶さんは「チンチラを迎えに行き、動物遺棄事件として捜査するよう刑事告発し当日受理していただきました。付近の防犯カメラも調べてもらい、1日も早く犯人逮捕につなげてほしいです」と話します。
たんぽぽによると、チンチラは保護時、少なくとも1日前には遺棄されたようでお腹を空かせていたとのこと。保護後、チンチラの飼育用品を買いに走り質の良いフードや牧草、ベッドに砂遊び部屋を作ったところ、食欲があり、チンチラの習性でもある砂遊びも楽しんでいたとか。
「何も食べてなかったのでしょう…すぐに食べてくれました。食べた後に砂遊び部屋に移動して砂風呂に入り気持ち良さそうに遊んでいたので安心したみたいです。ケージを開けると寄ってきておやつを手渡しで取り食べます」と本田さん。健康状態について「良さそうです。年齢は不明ですが、若そうに見える」といいます。
犬猫だけじゃない! 「ペットショップで単にかわいいや流行りで飼った結果が遺棄という末路」
たんぽぽは、負傷した野良猫や野犬の保護、虐待あるいは保健所からレスキューした犬猫のTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻す)の活動などを行っています。犬猫以外の保護については、自宅の敷地内で倒れていた重症の疥癬(かいせん)のタヌキとドッグランに落ちていたコゲラ(鳥)の経験があり、保護して治療して山に返したといいます。動物の遺棄について、本田さんはこう訴えます。
「チンチラに限らず、犬猫でもペットショップで単にかわいいや流行りで飼った結果が遺棄という末路です。飼う資格がない人が飼った結果もありますが、ペット産業が金儲けのためにあらゆる動物たちを売買した結果ともいえます。アライグマもアニメの流行りでペット産業が売買した結果、今では遺棄されたかつてペットだったアライグマが繁殖して生態系を壊しているのです。
先のことを考えずに物のように買って飽きたら棄てる身勝手な人間と、動物たちを物と思って売買するペット産業の招いた結果だと思います。チンチラが売ってなければ誰もペットとして飼ってないはずです。かわいい!欲しい!と思う前に長い年月、本当に飼育できるか、終生の食費や医療費、設備などを与えられるか、自身が飼い主の資格があるのか冷静に考えてほしい。途中で放棄する人間は飼わないことが動物への本当の愛情です」
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「この子が二度と悲しい思いをしない素敵なご縁があるように祈ってます」
チンチラの遺棄について、X(旧Twitter)に投稿した「アニマルレスキューたんぽぽ」さん(@animaltanpopo)。たくさんのコメントが寄せられました。
「こんなに可愛い子なのに…」
「保護ありがとうございます。餌食べてくれるなら回復すると思います。里親みつかるまでよろしくお願いいたします」
「こんな文句も言えない小さな命をご丁寧に袋に入れて遺棄するとは信じられないですね。保護されて何事もなかったようにご飯を食べて遊ぶ心中は悲しみでいっぱいかもしれません。辛かったことは早く忘れて幸せになってね。生きていてくれて有難う」
「砂浴してる 早くレスキューして頂いてありがとうございます 遺棄する前にちゃんと里親さん探して欲しかったですね 可愛がってた時期もあっただろうに何故捨てれるのか…」
「早く素敵な飼い主さんが見つかるといいなど願っております」
「この子が二度と悲しい思いをしない素敵なご縁が有るように祈ってます」
飼い犬や猫などの遺棄。2020年6月に施行された改正動物愛護法により、飼い主がペットを捨てた場合、これまで100万円以下の罰金刑だけでしたが、1年以下の懲役刑が加わり、厳罰化されました。犯罪です。大切な命を捨てないでください。
「NPO法人アニマルレスキューたんぽぽ@大阪府豊能郡能勢町の動物保護団体」のXアカウント(@animaltanpopo)