保護して間もない紀州犬が施設から逃走→鍵を開けたのは外部の人間 保護施設を「動物園」と勘違いする迷惑行為はやめて

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

人間の身勝手などで飼育を放棄された、「不遇な動物達」の保護活動を行なっている一般社団法人 ワニガメ生態研究所(@kanameogino)さん。今年の夏、所長である荻野さんの元に迎えられた、7歳になる紀州犬の男の子、お米丸くん。元の飼い主の自死で行き場をなくし、「縁起が悪い犬」として半年間たらい回しにされるなど、壮絶な過去を持つ元保護犬だ。

荻野所長の元で初めて「遊ぶ」ことを知り、同じく元保護犬のピットブルテリア、エースくんという親友犬が出来るなど、7歳にしてようやく平穏な日々を手に入れたお米丸くん。しかし、7歳で保護されたこと、また、警戒心が強い猟犬種(和犬)であることから十分な安全対策を取っていた矢先、外部の人物によってお米丸くんの生死に関わる事故が起きてしまったと、X(旧:Twitter)に投稿された。

保護施設は「動物園」や「ふれあい広場」じゃない

「扉は全てロックし厳重に閉じていますが、まさか外部の人間に開けらるとは!やられました!お米丸です!開けた人間は『あ~逃げた~w』と笑っています。すぐに追いましたが見えません。保護して間もない7歳の紀州犬はまず帰ってきません。しかし、奇跡が起きました!ガチで疲れました…」

実は以前にも、突然施設を訪れ、「所詮は捨てられていた動物だろ?」「見学料を払えば見せてくれるのか?」と難癖をつけ、見学させろと迫る迷惑な人物がいたと、Xに投稿していた荻野所長。大きなエンジン音や声を立てて無遠慮に訪れた人物の存在に、「ワニガメ生態研究所」で暮らす保護犬や保護猫たちは動揺し、保護直後のお米丸くんは怯えて失禁したという。

YouTubeで人気の保護犬活動家も、「ピットブルが見たいから来た」といった、物見遊山や冷やかしの訪問に困惑していると公表している。保護活動をエンタメとして紹介するテレビ番組の影響なのか、心や身体に傷を負った動物たちの保護施設を、「動物園」や「ふれあい広場」などと勘違いしている人も少なくないようだ。

そんなことから、日頃から安全に考慮していた最中に起きた「お米丸くんの逃走事件」について、荻野所長に聞いた。

外回りから囲うように捜査範囲を縮め、どうにか保護

ーーお米丸くんの部屋の「扉」は簡単に開けられるのですか?

「扉は3重のロックが掛かっているのですが、所詮は人が作ったものなので、人間であれば、開けようと思えば開けられます。今回、ロックを開けた人物は悪気があったわけではなく、飼っている犬のことなどは全く何も考えずに開けています」

ーー「ワニガメ生態研究所」は保護飼養の施設なのに…。お米丸くんは猟犬種である紀州犬、しかも保護犬。見つかったのは奇跡でしたね。

「通常、紀州犬の性質上、7年も違う場所で飼われていた犬が保護先から逃げたらほとんど帰ってきません。イノシシの狩猟犬としても有名な紀州犬は、弊所があるような山間部だと山に入る可能性もあります。今回はたまたま外出していた身内に電話連絡をし、外回りから囲うように捜査範囲を縮めていき、どうにか無事保護できました」

ーーやはり大変だったのですね…。今回のような事故や迷惑行為についてお伝えになりたいことはありますか?

「人間の身勝手で輸入されたワニガメ、カミツキガメの遺棄も含めて、私は人間の愚行と出会うことが多過ぎ、『呆れ』が先行してしまい、怒る気持ちもなく、ただ人に対する『失望』のみです。迷惑行為は絶対に止めて欲しいですが、望んで簡単になくなるものであれば戦争も起きないでしょう…。動物を保護する者と全く興味がない者とは思想が違います。人がいる以上、『迷惑行為』は絶対になくなりません」

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース