能登半島地震後、「ナプキンより水や食糧が大事」「1日1個で足りる」「男にも何か配ってくれないと不平等」といったあまりに理解や知識の乏しい議論が繰り広げられている生理用品。生理は知っていても実態がわからず、避難所や実生活でどれほど必要なのかが伝わらないままです。
そんな中、一般社団法人JOYのささきさん(@MinaMina_h_h)がX(旧Twitter)に投稿した写真と文書が話題に。そこには、ささきさん自身が1回の生理期間中に使用するナプキン量の写真が添付されています。
写っているのは、ナプキン夜用35cm×2袋(26個)、特に多い夜用40cm1袋(7個)、多い夜用30cm1袋(17個)、多い夜用29cm1袋(15個)、ショーツ型ナプキン2袋(7個)、シンクロフィット1箱(12ピース)。ささきさんは経血量が多く、この量を1回の生理期間のためにストックしていたそうです。
経血量には個人差があり、ささきさんよりも、ナプキンの数が少なくすむ方がいるのも事実ですが、多く必要な方もいることでしょう。
「とくに、2、3日目からは量が多くて大変。被災地に充分な量が届いてほしい」
「10枚入りなら10人に行き渡るやん!じゃないんですよね。トイレ行くたび替えるし」
「水不足でお風呂に毎日入れないなら、せめてトイレ回数、交換する回数増やさないとかなと思うので、もっと必要かもしれない」
「大袈裟じゃなくコレ。長い子は1週間以上ダラダラ続いたり、1度の経血量多くて赤ちゃんのおむつ状態だったり」
「軽くて短く終わるひともいれば、七転八倒したりメンタルにきたりする人もいる。過多の人もいる。ただでさえ辛い避難所生活、無知や偏見のせいで十分な生理用品が手に入らないとしたらあまりにも理不尽」
この量が珍しくはないことや、生理への理解を求める声、被災地を心配する声、防災セットを見直す声などが続々と届いています。
ささきさんは、北海道函館市を中心に活動する「一般社団法人JOY」の代表。「生理用品無料配布プロジェクト」を積極的に実施しており、寄付や支援金から、北海道内の学校や配布スポットなどに無料ナプキンを常備設置。未成年者に生理用品を届けたり、様々な理由で生理用品が手元にない方々へ全国発送する活動を行いながら、生理に関する情報をSNS上で発信し続けています。
ささきさんに今回の投稿への思いを詳しく聞きました。
生理は排泄と同じ、我慢することではない
――地震の2日後に、ナプキン量の写真を投稿をされていました。
他人がナプキンをどのくらい使っているのか分からないと思います。〇パックと言ってもピンとこない方も多いので、可視化する事で「こんなに使う人もいるのか」と分かって欲しいと思いました。
――男女問わず「こんなに使うの!?」と驚く方も少なくないと思います。
これは私が実際に使っていた量になります。生理が始まる前はずっと気持ち悪くて吐き、生理になっても腹痛で鎮痛薬が必須、経血も多いのと不順だったので、いつもトイレにナプキンを置いておかないとダメでした。経血の量って誰かと話すわけではないから、それが普通なのか異常なのかもわかりません。
家であれば、次回に少し残すために若干多く用意していました。生理が始まってナプキンを買いに行くのではなく、常にストックしてる方が大半なのでそれも含めて知って欲しいと思っています。
――確かにある程度の量をストックしておきたいものです。
そして災害時だからこそ、可能な限りナプキンはこまめに換えて欲しいです。ストレスで不順になってしまう事もあるし、お風呂に入る機会が少なくなるので菌の繁殖も普段より多くなると思います。
匂いや肌荒れの他にも、細菌が原因で病気を引き起こすこともあり、ナプキンを交換せずに増えた雑菌が膣から体内に入り重篤な疾患にかかる可能性もあります。例えば3時間おきに交換するとしたら1日8枚。8×7日=56枚が1人で必要です。生理は排泄と同じで、我慢することではないです。
――JOYでは現在、被災地への支援物資も募り、然るべきタイミングで届ける予定だそうですね。
私たちと繋がっている方々の中には、東日本大震災で被災した方々もいらっしゃいます。その方々から「ニュースと現実は若干のズレがある事」を聞いています。復興まではかなりの時間を要すでしょうし、支援物資も継続的に必要です。
生理用品だけではなく、小さい子供たちへの折り紙やお絵描きセットなども…。お菓子をみんなで食べると明るい気分になれる人もいたそうです。みんなが少しでも前向きになれる支援が必要だと考えています。