46年ぶりの紅白出場…伊藤蘭さんのステージに駆けつけた古参ファンたちが熱かった! 復活した紙テープ投げ、名前コールに現役アイドルファンも感動

黒川 裕生 黒川 裕生

2023年の大晦日に放送された「第74回NHK紅白歌合戦」では、150人以上もの往年のファンたちの前で披露された伊藤蘭さんのパフォーマンスが鮮烈な印象を残した。キャンディーズのデビュー50周年にして、1978年4月4日のグループ解散からは実に46年近い歳月を経てのステージで、伊藤さんはキャンディーズの代表曲3曲をメドレーで歌唱。特に視聴者の注目を集めたのは、半世紀もの間、熱い思いを変わらず持ち続けたファンの万感あふれる嬉しそうな笑顔だった。

実はキャンディーズ解散後も「全キャン連」(全国キャンディーズ連盟)というファンの自主的な応援組織が存続している。2008年、2000人を集めた解散30周年のフィルムライブ「全キャン連大同窓会」がきっかけで復活。さらに、2019年に伊藤蘭さんがソロデビューを果たした際には、「全ラン連」(全国伊藤蘭連盟)も立ち上がっており、会場にはそれらのメンバーの姿もあったという。「全キャン連」「全ラン連」の代表を務める著述家・編集者の石黒謙吾さんに話を聞いた。

伊藤さんは1977年以来46年ぶりとなる紅白で「年下の男の子」「ハートのエースが出てこない」「春一番」をパフォーマンス。当時のコンサートと同様、観覧エリアのファンからは「ランちゃん」のイメージカラーである赤に加えて、最後は「スーちゃん」の青、「ミキちゃん」の黄色と、3色の紙テープが投げ込まれ、声をそろえて3人の名前を順番に呼ぶ「コール」が響いた。

キャンディーズのデビュー当時から熱烈なファンである石黒さんは、伊藤さんソロデビュー後の4年間、ライブツアーのほとんどの会場に足を運んできた。「蘭さんはステージを重ねるごとに歌も振り付けもどんどんレベルアップしているんです。ソロデビュー後、今が一番魅力的だと自信を持って言えます。SNSでは『現役感がすごい』という感想も見ましたが、僕らの感覚では“いつもどおり素敵”ですよ(笑)」

安全面への配慮などから今ではほぼ絶滅した「紙テープ投げ」が、一夜限りで復活したことも話題に。スタッフに提案したのは他ならぬ石黒さんだったという。全キャン連北陸支部だった石黒さんは現役時代、高校入学から解散までの2年間で、金沢から全国100ステージを追っかけ、1回のステージで100本もの紙テープを投げてきた猛者である。

「今のアイドルはペンライトがスタンダートですが、それはナシにしてぜひ全力コールと紙テープでやりましょう、と。演出の関係で3回のタイミングでしか投げていません。全盛期を知る僕からしたら少なすぎて投げたうちに入りませんが(笑)、とはいえ“本人に”投げることができたのは1978年の解散コンサート以来なので、ものすごく感動しました」

この日も、解散後は本人不在のイベントで集まっていたのと同じように集結して、いつもどおり応援する石黒さんたちの姿に、SNSでは現役のアイドルファンから「ドルオタの鑑」「オタクが目指すのはここ」と感動と賞賛のコメントが相次いだ。石黒さんは「素直に嬉しいのですが、それは何よりも(伊藤さん)ご本人が今でもカワイイから僕たちは燃えるのです。そして何よりもご本人が喜んでいる表情が見えて、それが僕たちファンの一番の幸せなんです」と語る。

ソロデビュー時は、「蘭さんも僕らもそれぞれの人生を紡いできて、また昔と同じ気持ちで応援できるなんてすごいこと。解散の後楽園から1万5030日目にこんなに幸せな日が来るなんて」と、もう思い残すことはないと思ったという石黒さん。「全キャン連」のスピリットを受け継ぐ「全ラン連」を立ち上げただけでなく、「ここまで僕たちを幸せにしてくれたことへの恩返しがしたい」と、伊藤さんとキャンディーズに捧げる感謝のメッセージソング「微笑の恩がえし」を制作した。

キャンディーズのラストシングル「微笑がえし」へのオマージュであり、返歌であるというこの歌の作詞は石黒さんご自身、作曲は音楽評論家のスージー鈴木さんが担当。歌うのはもちろん石黒さんだ。各種サブスクで聴くことができる。

石黒さんは「2008年に続き、2019年のソロデビュー時にインタビューさせていただいたのですが、蘭さんは『また始めたからには歌い続けたい』と話されました。今もその言葉通り活動を続けてくれているし、歌手として驚くほど進化もしています。僕たちにとって紅白は“ピーク”ではなく途中経過だし、ご本人もそう思っているはずです」と力を込めて言い切った。

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【石黒謙吾さん】
1961年金沢市生まれ 著述家・編集者・分類王。
著書には、映画化されたベストセラー『盲導犬クイールの一生』、『分類脳で地アタマがよくなる』ほか多数。プロデュース・編集した書籍は『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一、菊池良)など幅広いジャンルで280冊を超える。2008年に復活した新生「全キャン連」(全国キャンディーズ連盟)と、2019年に立ち上げた「全ラン連」(全国伊藤蘭連盟)代表。

「イシブログケンゴ」
https://www.blueorange.co.jp/blog/

「全ラン連」
https://zenranren.com/

「微笑の恩がえし」
https://linkco.re/HQnPdGdb?lang=ja

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