家探しをする時に、いろいろと理想があるかと思います。新築マンションなのか、注文住宅なのか、また予算を考えて中古住宅にするのか、様々な選択肢があります。ただ、特定の条件にこだわりすぎると、後悔してしまう選択になるかもしれません。
夫婦のこだわり
Wさん(30代女性、専業主婦、関東在住)は夫(30代、IT系企業勤務)と子ども(5歳)との3人暮らしです。
賃貸で暮らしていますが、夫婦ともに一戸建てに住みたいと考えています。というのも、Wさんはガーデニングが趣味で庭がある家が欲しいと思ってたからです。またWさんの夫はバイクが趣味なので、こちらも周りの目を気にせず、バイクを整備できる環境が欲しいと思っていました。
その両方を叶えれるのは「戸建てしかない」と考えました。ただ、注文住宅をするには費用がかかりすぎるので、新築の建売住宅にしぼってマイホームを探すことにしました。
趣味が楽しめそうな素敵な戸建て
子どもが小学校に上がる前にマイホームを見つけたかったので、予算4000万円前後で、金額が合う新築の戸建て物件をいくつかポータルサイトで探し、早速内覧にいきました。
Wさんの夫はテレワークが多い職種だったので、エリアは特にこだわりませんでした。何件か内覧しているうちに、素敵な戸建てに出会いました。
リビングは広々としており、和室もリビングと隣接しており雰囲気がよく、部屋数も文句ない物件でした。
何より庭が広く、カーポートもあったためWさんの夫も大変気に入りました。金額も4000万円程度で、ローンを組めば月々10万円ほどの金額です。賃貸の時と負担額がさほど変わらなかったので購入を決めました。
購入してから後悔していること
しかし数カ月住んで、Wさんには後悔していることがあります。それは、Wさんが移り住んだ自治体は、子育て支援などがあまり充実しているとは言えないことに気づいたためです。
ある日、近くの自治体に住んでいる友人と話していたところ、その街では子どもの医療費は18歳まで無料、学校の給食費も無料になっていることを知りました。そういった支援策がいくつもあり、「経済的にも助かっている」とのことでした。
その話を聞いたWさんは、もっといろいろな条件を考えて家探しをするべきだったと痛感したそうです。もちろん子育てのことを考えてはいましたが「広い家で、公園や学校が近くにあればいいな」といった程度のことしか思いついていませんでした。
将来のことを考えたら、ほかにも医療機関や福祉の充実度など、チェックしておかねばならいことはたくさんあったかもしれません。しかし、Wさんは「趣味が楽しめそうな新築戸建てが欲しい、という思いだけで家を探してしまっていた」そうなのです。
子育て支援などが充実している地域で、予算に合う中古戸建てを探す方法もあったのでは。福祉に力を入れている街を選べば、トータルでお金を節約できたかもしれません。
「家自体には満足していて、今の住まいを決めたときはよかったなと思いましたが…これから住んでいくにつれ、後悔することがまた出てくるのかもしれません」と、Wさんは話しています。
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このようなことは良くあることなのでしょうか? アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに聞きました。
多様な視点で物件探しを
ーー自治体によって、子育て支援の内容はかなり違ってくるのですね。
自治体によっては、子育て支援金が充実していたり、妊婦の医療費が無料になる自治体もあると聞きます。エリアにこだわりがない子育て世代の方には、逆に物件を絞るためにも、子育てが充実したエリアで調べてみませんか、とアドバイスさせてもらうことはあります。
ーー物件探しは焦らず、冷静に探すことが大事ですね。
その通りだと私も思います。今の趣味などを充実させるためにも引っ越すというのも素敵ですが、たとえば10年後に自分たちの暮らしがどうなっているのかなどを考えてみるなど、さまざまな視点から落ち着いて探していくことが大切だと思います。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーター
https://alphahomenagoya.jp/