『うつ病から仕事復帰の壁』
うつ病を発症し、その体験を漫画にしてX(旧Twitter)などSNSに発信されている漫画家の如月あいさん(@kisaragi_I)。仕事復帰にあたっての苦難について描かれました。
うつ病になって約2週間後、「いつまでも寝てられない」と、復職を決意した如月さん。しかし、そんなご自身の意気込みとは裏腹に現実は…。
仕事関連のメール3通を1時間かけて返信、頭痛がヤバくなり、結局初日はそれだけで終わりました。
それから少しずつ仕事ができるようになり、調子が良い時は漫画も描けるようになったという如月さん。しかし、すぐ疲れてしまうので1日5時間以上働けず、集中力もないため進み具合も全盛期には遠く及びません。商業連載は難しいという状況に。
しかも、問題は作画だけでなく、編集部から修正依頼が来ることもあります。そのような連絡がある度に、涙も止まらなくなってしまった如月さん。
「もう、商業誌には戻れない」
如月さんは悟りました。この時、絶望しすぎて涙も出なかったといいます。
「うつ状態を放っておくとこうなります。おどしではありません。本当に描けなくなります」
この時の経験について、如月さんはX上で同業者の方々にこのように警告しています。
ご自身の絶望的な体験を描いた漫画。リプ欄にも多くの反響がありました。
「同じ様な経験あります。諦めたら良くなるってこともあるんでしょうけど、その時の自分にはなかなか諦めがつかないでしょうね」
「本当に大変だと思いますが無理しないで下さいませ」
「今までの事ができなかったりして辛いですよね」
「人生って本当に不可逆であり、判断と覚悟なんだなと強く感じました」
――うつ病を発症された経緯について教えてください。
如月さん:いろんなストレスが重なったことで うつ病を発症しました。漫画の新作制作が難航したこと、引っ越し、結婚、コロナ感染、ご近所トラブル…等々。これらの問題が一度に押し寄せてきて、精神的にいっぱいいっぱいになったのが原因です。
――発症して一番困った経験は?
如月さん:メールが読めなくなったことです。うつ病には「集中力が続かない」という症状があるため、頑張って読もうとしても、せいぜい50字読むのが限界。そのため全く仕事になりませんでした。
――今回の漫画では、商業連載を諦めなければならないかもしれない…という状況になっていますね。当時と比べて、現在はどのような状況ですか?
如月さん:現在は少しずつ回復しております。メールも読めるようになってきました。ただ、うつ病の療養期間が長かったせいか体力が落ちてしまい、1日の作業時間は1~5時間程度です。昔は疲れていても、無理をして働いていたのですが、うつ病を罹患してからは無理をしなくなりました。疲れたらちゃんと休む。当たり前のことなのですが、うつ病になって休む事の大切さを知り、普通に休むことができるようになりました。
◇ ◇
うつ病になって、以前のように長時間漫画を描き続けることができなくなってしまったという如月さん。しかし現在も、今回のようなうつ体験記を中心に、コミックエッセイを制作。うつになって経験したさまざまな日常での困りごとについて紹介されています。
また、商業連載を諦めざるを得ない、というところまで描かれていた今回の漫画ですが、如月さんは後日、その後の話も描かれています。漫画が描けないという絶望から、どのように立ち直っていったのか…それは次回の記事でご紹介します。
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