週刊少年ジャンプ(集英社)の黄金時代を築き上げた名作マンガ『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)。2023年に作品発表から40周年の節目を迎え、新作アニメ制作が発表されました。そんな本作を改めて読むと、一子相伝の暗殺拳である北斗神拳の使い手が意外に多いことに気づきます。一体どれだけのキャラが北斗神拳を使えるのでしょうか。今回は北斗神拳継承者の候補(ケンシロウ・トキ・ラオウ・ジャギ)以外で、北斗神拳が使えるキャラたちを振り返ってみます。
まずは偽トキとして有名なアミバです。コミックス6巻から登場するアミバは、カサンドラに幽閉されたケンシロウの義兄・トキに替わり奇跡の村を支配します。アミバは村人に治療と称し、新しい秘孔の効果を試す人体実験をおこなっていました。たとえ高熱でうなされている子どもが相手でも人体実験をおこない、結果として子どもが死んでしまっても不気味な笑みを浮かべながら平然としている残虐性を秘めた人物なのです。アミバがケンシロウに自己流の北斗神拳を見せた時には、ケンシロウがトキと間違えたほどの実力を有しています。このことからアミバはただ外見を似せるだけでなく、相当数の人体実験や修行によって北斗神拳を自己流ながら体得していたといえるでしょう。
そんなアミバが主役の北斗の拳スピンオフ漫画『北斗の拳外伝 天才アミバの異世界覇王伝説』は現在、WEBゼノン編集部にて連載中です。また、コミックス最新刊である6巻が2023年12月20日に発売予定です。
自己流で北斗神拳を学んだキャラといえば、バットも忘れられません。本作の第1話から登場するバットは、その明るい性格からムードメーカー的存在でしたが、コミックス16巻から始まる天帝編ではたくましい青年に成長した姿を見せてくれます。武器を使って戦うシーンが散見されるバットですが、じつは秘孔も心得ているのです。
コミックス27巻でバットは、ともにケンシロウと旅した仲間・リンと結婚式を挙げることに。しかし、敵であるカイオウの力によりケンシロウについての記憶を失ったリンと結婚することに疑問を感じたバットは、なんとリンの記憶を秘孔によって消してしまいます。
「記憶を失う前はケンシロウを愛していたはず」という気持ちからの行動であり、バットの漢気を感じるシーンではありますが、いつの間にか秘孔を突けるようになっていることへの衝撃の方が勝ります。バットが秘孔を体得した経緯は本作で語られていません。しかしネット上では、奇跡の村でトキと暮らしていた時期に教えてもらった説や、トキの治療の様子を見て覚えた説などがあります。筆者の推測では、バットはケンシロウと強敵(とも)との戦いを見続けたことで北斗神拳を体得していったと考えています。
他にも戦いを見ることで北斗神拳を体得しているキャラとして、コミックス26巻から描かれているブランカ編に登場するバランも紹介しましょう。
光帝を名乗り北斗神拳の力でブランカを支配している彼は、ラオウに弟子入りしていた過去があります。しかしラオウからは「北斗神拳を見て盗め」と言われていたこともあり、見よう見まねで北斗神拳を習得したのです。ケンシロウには一歩及ばず倒されてしまうものの、見よう見まねでラオウさながらの北斗剛掌波を放つことには驚かされました。
また、北斗神拳を使えるキャラは多く存在するなか、名前もない雑魚キャラでも北斗神拳を操る者がいることはご存知でしょうか。それがコミックス5巻に登場する雑魚キャラです。
ケンシロウに立ち塞がる彼は「みろ!!おれさまの北斗神拳を!!」「ジャギさまからうばいとった技!!とくと味わわせてやるわ!!」と豪語します。その後ケンシロウにあっさり倒されてしまうのですが、彼はバランやバット同様に北斗神拳を見て盗んだ天才だったわけです。学生だった筆者がこのシーンを初めて見た時は、友達に「北斗神拳使えるやつ発見した!」といってコミックスを見せた記憶があります。
他にも、北斗神拳継承者候補でしたが途中で破門となるキムや、ケンシロウたちの師匠・リュウケンと北斗神拳伝承者の座を争った男・コウリュウなど、北斗神拳を使えるキャラはまだ存在します。他にも北斗神拳が使えるキャラがいないか探しながら『北斗の拳』を読み直してみるのも面白いでしょう。