企業の「副業」容認は6割を超えるも…実際に行っている正社員の割合は? 「受け皿」や「アンマッチ」の課題が浮き彫りに

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

近年、企業では多様で柔軟な働き方が広がっており、副業を積極的に取り入れている企業も増えているといいます。そこで、副業の実態について調査したところ、企業の副業容認率は6割を超えた一方、正社員の副業実施率は1割に満たなかったことが分かりました。

株式会社パーソル総合研究所(東京都港区)が、「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」と題して2023年7月~8月にインターネットで実施した調査です。なお、企業調査は勤務先従業員人数10人以上、かつ経営層・人事(主任・リーダー以上)で人事管理(制度設計・運用等)について把握している70歳未満の男女1500人を対象に、個人調査は勤務先従業員人数10人以上、かつ20~59歳の正社員の男女6万1780人を対象としています。

最初に、企業に「副業容認率」を聞いたところ、2023年度は60.9%(全面容認:35.7%、条件付き容認:25.2%)で、21年の調査より5.9pt上昇しました。

これを業種別に見ると、最も高い業種は「宿泊業、飲食サービス業」(78.4%)で、21年調査から11.8pt上昇したほか、21年調査からの上昇幅が最も大きい業種は「金融業、保険業」(63.4%)で、21.3pt上昇しました。

また、「副業容認理由」を複数回答で答えてもらったところ、「個人の自由なので」(58.4%)が最も高く、21年調査から4.5pt上昇。そのほかに、「従業員のモチベーション向上のため」(57.4%)、「優秀な人材の定着のため」(52.8%)、「優秀な人材の確保のため」(51.0%)などが前回からの上昇幅が大きくなりました。

 

次に、企業の「副業受入れ率」を聞いたところ、2023年度は24.4%で、21年調査からほぼ変動はありませんでした。

これを業種別に見ると、最も高い業種は「医療、介護、福祉」(45.4%)となり、2番目に高かった「宿泊業、飲食サービス業」(39.2%)は、21年調査より9.7pt上昇しました。

また、「副業受入れ理由」を複数回答で答えてもらったところ、「迅速に人材確保が可能だから」(25.4%)、「多様な人材確保が可能だから」(21.3%)、「高度なスキルをもった人材確保が可能だから」(18.3%)などが上位に並びました。

続いて、個人の「副業実施率」を答えてもらったところ、2023年度は7.0%で、21年調査から2.1pt減少しました。

これを性別・年代・職位・業種別に見ると、性別では男性(6.5%)より女性(7.9%)が、年代では20代(8.9%)、30代(8.8%)での副業実施率がやや高く、職位別では「部長・本部長相当」(10.4%)の副業実施率が高い結果に。一方、業種別では、企業の副業容認率の上昇幅が大きかった「金融業、保険業」の副業実施率が5.0%と最も低くなりました。

そこで、副業実施者2000人に、「副業動機」を複数回答で答えてもらったところ、21年調査に引き続き、「副収入を得たいから」(69.7%)、「現在の仕事での将来的な収入に不安があるから」(57.5%)、「生活するには本業の収入だけでは不十分だから」(57.3%)が上位を占めました。

さらに、「副業意向率」を聞いたところ、2023年度は40.8%(行いたいと思う:16.6%、やや行いたいと思う:24.2%)で、21年調査(行いたいと思う:16.1%、やや行いたいと思う:23.9%)とほぼ同じ水準でした。

ちなみに、副業意向者1170人に「副業を行っていない理由」を答えてもらったところ、「自分の希望やスキルに合っておらず、副業求人への応募を控えてしまう」・「本業が忙しく時間が無い」(ともに29.7%)が最も高くなりました。

副業の実施率の低さについて調査を行った同社は、「『本業の多忙化』や、副業における『受け皿の少なさ』『アンマッチの多さ』が要因」と分析。「副業者を受け入れている企業の割合は、副業を容認する企業の割合と比べてかなり少なく、また、自身の希望・スキルにマッチしていないが故に、求人への応募を躊躇う個人の意識もみられた」と述べています。

 

最後に、企業に「人手不足の状況」について聞いたところ、全体では62.0%と、21年調査から6.8pt上昇。特に、地方では65.1%の企業が人手不足に陥っていることが分かりました。

他方、都市圏勤務の副業意向者1万2517人に、「地方副業の関心度」を聞いたところ、55.3%の人が「関心がある」(とても関心がある:16.7%、関心がある:17.0%、やや関心がある:21.7%)と回答。また、地方出身の副業意向者1万4788人に、「ふるさと副業(生まれ育った土地や、以前に住んだり、なじんでいた場所での副業)の関心度」を聞いたところ、69.6%の人が「関心がある」(とても関心がある:20.7%、関心がある:21.7%、やや関心がある:27.2%)と回答しました。

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【出典】
▽パーソル総合研究所

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