「どうしようか迷いましたが、やっぱり話します、沢山のお酒や、ジュースの缶、ビン、、ふたを開けたままお墓に置かないでください」ーーお墓参りのお供え物をめぐるトラブルがSNS上で大きな話題となっています。発信したのは、X JAPANの元ギタリストhideさん(享年33)の弟でマネジャーも務めた松本裕士さん。
1998(平成10)年5月に亡くなったhideさんの墓前には、今でも多くのファンが訪れています。しかし、一部の墓参者が持参したお酒やジュースがそのまま放置した結果、墓石に飲み物の色が付着し、虫がわく被害まで起こっていました。「開けていない缶も破裂していました、瓶は割れていました、、、沢山虫たちの餌食になっていました(中略)お酒やジュースの着色がとれません」(投稿から引用)
松本さんは「みなさんどうか、何も持って来なくて大丈夫ですから 手を合わせるだけでちゃんと伝わりますから 頼む お願いします みんな遠い所から来て頂いて、ほんと申し訳ないですが 宜しくお願い致します」と理解を求めています。
プロの見解は「故人を思った時点で既にご供養です」
故人が好きだった食べ物や飲み物を墓前に供えたくなる気持ちは自然なことですが、お供え後には知っておきたいルールがありました。仏事関連総合サービス「メモリアルアートの大野屋」(本社、東京都立川市)の相談窓口「大野屋テレホンセンター」所長、尾崎一郎さんに聞きました。
──お墓参りのお供え物は持ち帰った方がいいのでしょうか。
「はい、お線香をあげ、手を合わせ、お参りがひととおり済んだらお供え物は持ち帰りましょう」
──置きっぱなしにすると、カラスや動物が食べ荒らしたり、汚れにつながる?
「おっしゃる通り、鳥や獣に荒らされることが多くあります。墓石の汚れになるばかりか、周囲のお墓にも迷惑をかける場合があります。また石材店としては、落ちにくいシミになるため、故人の好物だったからとお酒やジュースを墓石にかけないよう、お願いしています。ちなみに、缶コーヒーやお酒のビンを置かれている様子も見られますが、お参りが済んだらやはり持ち帰りましょう。ビンが割れてシミになったり、缶のサビが移るケースがよくあります。お気を付けください」
──お供え物を持ち帰っても、故人の供養にはなるのでしょうか。
「もちろんです。故人を思ってお墓参りにおいでになった時点で既にご供養ではないでしょうか。持ち帰ったお供えは、召し上がっていただければそれもご供養ですと、お坊さんはよくおっしゃいます。ご安心ください」
全国の自治体でも「持ち帰って」
市営墓地などを管理する全国の自治体でも注意を呼びかけています。
「カラスが花立の花を抜いたり、お供え物を食べたりいろいろと悪さをします。カラスは食べ物を探しており、カラスの被害を防ぐにはお供え物を持ち帰ることが必要です」(神戸市)、「墓地内やごみ置き場に飲食物のお供え物を残さないでください。野良犬などが住み着く恐れが高まり、安全な墓参の妨げになるため、ご協力をお願いします」(岡山市)など。
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冒頭の松本さんの投稿は拡散され、表示回数は約1727万回を超えるほどに。SNS上では、今回の投稿で初めてルールを知ったという声も。他には「お参りして、その場で食べて、残ったものは持ち帰るのが常識」「お供え物のルールを知らない人たちもいるのか」「好きな人がいる場所を汚す気持ちがわからない」などの声が上がっています。