「ぞうさん、お鼻が長いのね♪」歌わないで ゾウの飼育員が看板に込めた思い「いろんな性格の動物いるよ」

茶良野 くま子 茶良野 くま子

 —大きな音や声が苦手だと

「騒がしいのがとにかく苦手で、人がたくさん並ぶのも好きじゃないんです。『人が並ぶと騒がしくなる、嫌なことが起きる』と思うみたいで。お尻を向けてしまったり、運動場のずっと奥に行ってしまいます」

—だから「しずかにしてね」と

「看板のおかげで分かっていただけるようになりましたが、遠足が多い日や土日は…。子どもさんにも伝わるよう、ひらがなを多くしています。大人が言って聞かせるよりも、読んで気づいてもらいたいと。『禁止』ではなく、サニーの気持ちに共感してもらいたいと思い、言葉を選んでいます」

 ー会話もダメ?

「ゾウを見て歓声を上げたくなるのは特に小さな子どもさんなら当然です。でも、本当に申し訳ないのですが、サニーの前では我慢してもらって、離れてからお話していただきたいです」

—室内観覧場所も閉鎖に

「お願いしても騒がしくなることがあって、サニーが嫌がって外に逃げてしまうことがありました。『中に入ると嫌なことがある』と思い込んだみたいで。室内でエサを食べられないのは困るので、ゾウ側の室内観覧場所は閉鎖しました」

なぜここまで大きな声、大きな音が苦手になったのでしょう。同園が1999年に現在の場所で開園し、サニーも移動して環境が変わったことがきっかけのようで、「音が反響しやすいのかもしれません。また、年齢とともに嫌なこと、我慢できないことが多くなっています」と小倉さんは言います。

そんなサニーですが、最近、採血に成功したことが公式サイトで紹介されました。「必要なことは『がんばれ』『もうちょっと』となだめながらしています。不機嫌な日もありますし、雨は嫌いだから外に出たがりません。サニーにはいろいろとこだわりがあるので、わたしたちは扉を開けて待つだけ。決して無理はさせません」 

 

サニーは北陸地方で見られる唯一のゾウ。「長生きしてもらって、子どもたちには本物の生きたゾウを見てほしい」と小倉さん。サニーからのお願いの最後につづった「どうか知ってほしい。いろんな性格の動物がいるってことを」は、自身の子どもにもいつも伝えていることと同じだと言います。

「つまり『相手の気持ちを考えようね』ということで、それは人も動物も同じですよね。サニーもがんばっていきますので、ご協力を」と話していました。

※記事内の画像は2023年10月撮影

いしかわ動物園 https://www.ishikawazoo.jp/

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