冬型の気圧配置が強まり、今季一番の強い寒気が流れ込むなど、冬は確実に迫ってきています。クルマのタイヤの冬支度、そろそろ考えておかないといけませんね。
知っておきたい「冬用タイヤ規制」と「チェーン規制」
高速道路でたまに見かけるこの標識、意味をご存知でしょうか。これは道路管理用の標識で「投雪（投雪）禁止」を示すものです。除雪作業中、下に道路や民家があるなどの理由で、道路外に雪を投げてはいけない部分の始まりに四角、解除の地点に十字の標識が立てられています。握る、開くで、グーパー標識とも呼ばれているそうです。
暖かい季節にはピンときませんが、この標識がある場所は冬になると積雪するかもしれないところ、ということですね。
雪の季節、高速道路ではしばしば「冬用タイヤ規制」が行われます。道路に雪が積もった場合の規制で、タイヤチェーンなどの滑り止めを装着するか、またはスタッドレスタイヤを履いていないと走ることができません。
「冬用タイヤ規制」は、NEXCOが管轄の警察署など関係各署と協議して、区間ごとに実施されます。
そしてさらに雪が深くなると通行止めが行われます。この場合にはスタッドレスタイヤでもチェーン装着でも走ることができません。
「冬用タイヤ規制」と混同されやすいのですが、「チェーン規制」という別の規制があります。これは2018年に施行された制度で、高速道路、一般道路の区別はありませんが、適用の対象になる区間はあらかじめ指定されていますのでチェックしておきましょう。
近年は温暖化とされますが、急な積雪はやや増える傾向があります。そしてそんな想定外の大雪による「立ち往生」が問題になったのが規制の背景です。一方、従来は「通行止め」にしていた場面でも、チェーンなど適切な滑り止めを装着することを条件に通行を認めるという規制緩和の側面もあるようです。
「チェーン規制」は「冬用タイヤ規制」と違って、スタッドレスタイヤも規制の対象になります。
突然のチェーン規制。布製タイヤチェーンは使える？
タイヤチェーンには金属のチェーン（鎖）、樹脂やゴム製のもの、最近は布製のカバータイプもあります。
国土交通省のページには、タイヤチェーンの種類として「布製カバータイプ：アラミドなどの特殊繊維製の製品」とありますので、布製タイヤチェーンは使用可能です。
金属製のチェーンは、価格が安いこととコンパクトなことが良い点です。ただ、取付に少し慣れがいる、走ってるとガタガタとやかましい、ホイールにキズが入ることがある、といった短所があります。樹脂製チェーンは、耐久性が高い、装着しやすく工夫されているものが多い、金属チェーンよりは乗り心地がいい、というのが長所です。ただ、使わないときに嵩張ることがあり、また少し値段も高めです。
新しいのが布製のカバータイプ。1998年にノルウェーのAutoSockで開発され、今では様々なメーカーのものが売られています。また日刊自動車新聞社の調査による最近のデータでは、チェーン全体の約3割のシェアを占めています。
布の繊維で水分を吸い取って回転で放散するので湿った雪にも対応し、また硬く凍った路面にも張り付き効果でグリップ力を確保するとあります。ただ、シャーベット状のべちゃべちゃの路面では布の表面に氷が張り付いてグリップ力が落ちる場合もある、というレビューもあります。
布製タイヤチェーンの耐久性、用途などは？
AutoSockのサイトによると、耐久性は乾燥した路面で使用したときの寿命は120キロ、雪に覆われた路面では数百キロ。時速50キロまでで走行とされていますが、これは金属チェーンでも同じようなものでしょう。飛ばせば切れたり、また金属の場合はボディやタイヤハウスを破損させるおそれもあります。
洗濯も可能で、保管に特別に気をつけることもなく、何度でも使用できます。ただ、樹脂のチェーンと比べると寿命は短めなこと、あとクルマを長時間止めておくときには凍りつかないように外しておかないといけない、といった点に注意は必要です。
「シーズン中は常に雪が積もっていて、付けっぱなしで毎日常用する」という用途にはおそらく金属や樹脂のチェーンの方が向いていると思われます。
とにかく装着が楽なこと、畳むとコンパクトなこと、軽いこと、比較的安価なこと、ホイールを傷つけにくいこと、そしてなにより静かで乗り心地が悪くならないことが人気を集めているようです。また、金属や樹脂のチェーンに比べて薄いので、タイヤハウスや足回りにクリアランスが少なく「チェーン不可」のクルマにも使えるというメリットもあります。
普段雪が積もることがあまりない地域に住んでいて、たまに雪道に入っていく。または不意の雪に備えておきたい。そんな用途には布製がよさそうです。筆者もクルマのトランクに備えておこうと思います。
