「20歳だった僕、今年初孫が」岡田、バース、桧山、金本…38年ぶり日本一にレジェンドユニのファンも歓喜「人生そのもの」

広畑 千春 広畑 千春

5日、オリックス・バファローズとの頂上決戦を制し、日本一に輝いたプロ野球阪神タイガース。前回から費やした月日は38年と現在の全球団で2番目に長く、もはや「歴史」。万年最下位の暗黒時代に、2003、2005、そして下克上で進出した2014年と三度パ王者にはね返され、時代は昭和から平成、令和へ…。レジェンドたちのユニフォームに身を包み京セラドーム大阪に集った、酸いも甘いも知り尽くしたファンたちに、思いを聞きました。

■20歳だった僕に初孫が

「小学1年からお父さんに甲子園に連れて行ってもらって、気がついたら金本ばっかり応援してた。監督では優勝できなかったけど、金本がドラフトで獲得した選手がいっぱい活躍してくれた」と笑顔の大阪府高槻市の加藤陽菜さん(24)。宝物だという、金本知憲選手の背番号「6」の直筆サイン入りユニフォームで歓喜の瞬間を見届けた。父の浩之さん(58)は85年当時、20歳。三女は2003年生まれ。今年、長女に初孫が生まれ、おじいちゃんになった。「あれから人生も阪神も、あれやこれや、ええことも大変なこともあった。苦節38年。本当に嬉しい。選手たちが子どもみたいな年齢になっても、ずっと同じ気持ちで応援してる。僕の人生そのものです」

■85年世代

 バース、掛布、岡田、真弓…。伝説の最強打線を擁して日本一を成し遂げた1985年世代のユニフォーム姿のファンも。岡田彰布監督の選手時代の背番号「16」をつけた男性(62)は当時24歳。「選手時代の岡田はもう凄い打った。当時の打線は戦略より何より、それぞれ勝手にボコボコ打つ。その岡田が監督になって、チームも凄く変わった。采配は頭脳的だし、選手たちもちゃんとして…ほんま凄い」と感無量。奈良県の池田大作さん(57)は大学生で日本一を見届けて以来の熱烈なファンというランディ・バース選手の「44」のユニホームを6年前に新調。就職し結婚し、自分の影響か野球少年に育った子どもも独立。「85年はあれよあれよといううちに優勝してしまった。今回は待ちわびた分、しみじみと実感が湧きますね」と年月を振り返った。

■暗黒時代を知るからこそ…

 大阪市の長田裕美さん(49)が着続けるのは、桧山進次郎さんの「24」2003年リーグ優勝時の記念ユニフォームだ。新庄・亀山、守護神田村らを擁して優勝まであと一歩に迫りながら失速した1992年にルーキーとして初出場。栄光と挫折を繰り返しながら90年代の「暗黒時代」を支えた。「92年の悔しさも、暗黒時代からの2003年の喜び…。今日は絶対桧山で迎えたかった。何度も何度も、期待してはあかんくて…。85年は小学生。やっとやっと、日本一の胴上げを見られました」と喜びを爆発させた。

 2005年の鉄壁のリリーフ陣「JFK」の一角、ジェフ・ウイリアムス選手の「54」を着た千葉市の西塔友紀子さん(49)は「野球全く知らなかったんですけど、夫に連れられて観に行くうちにジェフのファンになっちゃいました。2005年に日本シリーズで負けた悔しさが原点」。“布教”した夫の英典さん(57)は第6戦の掛布雅之選手の「31」から、米大リーグ・アスレチックス時代の藤浪晋太郎投手のユニフォームに着替え、胴上げを見届けた。「38年、自分の中では田淵のホームランの弾道が忘れられない。これまでの選手もみんな思いは一緒。本当に良かった、ありがとう、ありがとう!!」と感極まった。

◇ ◇

 京セラドーム大阪には他にも、真弓、和田、江草、鳥谷、藤川、糸井…ら、この38年を彩った数々の名選手や、亡き横田慎太郎さんのユニホーム姿の人たちも。ファン一人一人が、忘れられない選手と過ごした年月の思い出とともに六甲おろしを歌い、目を真っ赤にして喜びを爆発させていました。ああ、本当に、日本一になったんだ…!

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