繁殖犬としてケージで約6年間、あわや保健所に 感情を殺していた犬…撫でたら嬉しそうな顔に「もっと甘えて生きてほしい」

渡辺 陽 渡辺 陽

繁殖犬としてケージの中だけで暮らす

むぎちゃん(12歳・メス)は、2017年5月に茨城県在住のMさんと出会い、同年7月に家族として迎えられた。

むぎちゃんには、繁殖犬としての過酷な過去がある。彼女は2011年8月くらいに生まれてから推定6年間、ケージの中で過ごし、子犬を生み続けてきた。しかし、繁殖犬として使い物にならなくなると、彼女は飼育放棄され、保健所に運ばれる寸前で保護団体によって助けられたのだった。

ソファのすみっこでじっっとしていた子

Mさんは幼少期から犬と共に過ごし、先代の愛犬が亡くなった後、新しい家族を迎える気になれずにいた。夫はそんなMさんを気遣い保護団体の譲渡会に連れて行き、そこでむぎちゃんとの出会いが実現したという。むぎちゃんは夫妻に駆け寄ってきて、安心と温もりを求めるかのようにピタっとMさんに寄り添った。Mさんは、その瞬間「この子を迎えよう!」と思い、里親希望を申し出た。その後、トライアル期間を経て、正式に家族として受け入れることが決まったそうだ。

「むぎを家に迎えた初日、彼女はお水やご飯に手をつけず、ただただ申し訳なさそうに、ソファのすみっこでじっっとしていました。それでも、近づいて撫でると嬉しそうな顔で見上げてくれたことをとてもよく覚えています。」

感情を押し殺して生きてきた

彼女の名前は、保護団体からもらった名前が「ルージュ」だったが、茶色の毛色からMさんは「むぎ」という名前を思いついた。

繁殖犬として生きてきた数年間。甘えられなかった時間を取り戻すかのように、シニアになった今でも、甘えることが大好きだ。

「保護犬に多く見られる傾向なのかは分かりませんが、あまり感情や要求を出さず控えめなところがあります。それでも、家庭犬としての生活を送っていくうちに、ちょっとずつ個性も出てきます。

何に数回しか声を発さないむぎですが、後に迎えたぐらがしつこくくっついてくると、ごくまれにワン!!と鳴き、その声にぐらが飛び上がるほどビックリしています。」

おっとり優しいけど怒るとこわい長女キャラ。好きなものは小さな縫いぐるみとイチゴだという。Mさんはもっともっと甘えて自由奔放に生きてほしいと思っている。

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