まさか、こんな住宅地にまで!? 秋田市の市街地で熊出没による人身被害が… 原因は人口減? ご当地ヒーローが背景を解説

中将 タカノリ 中将 タカノリ

各地で大きな話題になっている熊の出没情報。今、SNS上ではあらためて、秋田県秋田市の市街地で起こった熊による人身被害が大きな注目を集めている。

きっかけになったのは秋田ご当地ヒーロー、超神ネイガー(@neiger_akita)の公式Xアカウントによる

「こんな所にまで出るのか!?雄物川と秋田運河と日本海に囲まれた山なんか無え場所だぞ なんとせばいいのや…
まずはみんな不用意に出歩かねえでけろ」

という投稿。

ネイガーが指摘するのは秋田市新屋寿町、新屋南浜町の住宅街で、60~80代の男女4人が熊に襲われケガを負った事件。周辺は住宅密集地で山からも遠く、熊の出没に住民は大きな衝撃を受けたそうだ。

今回の投稿に対し、SNSユーザー達からは

「山の中での遭遇だと思ってたけど、街中すぎて驚いた 近々、秋田エリア車中泊する予定だったけど、どうしよう」
「日本一広大な盆地の横手盆地の真ん中、十文字町でも、熊の出没や目撃情報結構出ますからね。。一旦麓に下りてきてしまった熊の移動距離や行動範囲。甘くみたらいけないですよね。。」
「北海道では川伝いに山からクマがおりてきてるので、街にどんどん出てますね。。。JRもクマ、シカ、小動物との衝突情報が連日(ない日がないぐらい)なのでほんと、気を付けてけろ」

など数々の驚きの声、共感の声が寄せられている。

ネイガーに聞いた

秋田弁をスタッフの方に共通語に翻訳していただきつ、ネイガーにお話を聞いた。

ーー秋田県民にとって新屋町周辺はどのような地域でしょうか?

ネイガー「繁華街や商店街でこそないものの、県庁などがある秋田市の中心部が開発される以前から生活が営まれている古い街並みであり、また、運転免許センターや各種学校などの施設がある密集住宅街です。新屋の住民の話では『数十年ここに住んでいるが、こんなことは初めてだ』と驚かれていました。投稿した衛星写真をご覧いただければ分かりますが、周囲には奥山も里山もなく、これほど人間が密集した住宅地に川を渡ってまで移動して来るということは、これまでの常識では考えられないことです」

「そもそも熊は臆病な動物であり、突然人間と出会った際に、驚いて(防御的な意味合いから)攻撃して来る、という理解でおりました」

ーー今回の事件へのご感想をあらためてお聞かせください。

ネイガー「未だかつてない異常な事態が起きている、というのが正直な感想です。クマの目撃情報は昨年の2倍。しかもこれまで出現することがなかった、あるいは出現するとは考えられなかった場所での目撃が相次いでいます。人身被害は過去最高を記録しています。これからの季節、被害はもっと増えるでしょう」

「ここまで熊が人里に接近して来ることについては次のようなことが考えられます。

①昔のように里山で柴を刈ったり薪を採りに行ったりする必要がなくなり、人の手が入らなくなったせいで里山が管理されずに荒れてしまったこと。

②里山が荒れて奥山化したことにより、藪や林に身を隠す習性がある熊が里山にまで出てこれるようになったこと。

③本来、奥山と人里の緩衝地帯であった里山が機能せず、熊がいきなり人里に現れるようになったこと。

④人口減により人里も空き家や耕作放棄地が増え、熊に対する脅威が減ってしまったこと。

⑤過疎化した人里への出入りを繰り返すことで熊が人間の構造物や気配に慣れてしまうとともに、果樹や農作物の味を覚えてしまったこと。

⑥昨年は餌となるブナの実が豊作で頭数が大幅に増加したこと、そして今年は大雨と猛暑で夏の間に全て実が落ちてしまい、越冬のため秋に食い貯めるべきブナの実が大凶作であること。

⑦猟師のなり手がおらず頭数の調整ができないこと。また、駆除に関して当事者(秋田県民)ではない方々から『なぜ殺すのか』という執拗なクレームが寄せられること。

⑧本来秋田県にはいないはずのシカ、イノシシなどの野生動物の流入が増加しており、それらとの餌の取り合いになってしまっていること。

⑨里山ばかりではなく、予算的・人材的な不足から、町にある公園や河川敷、街路樹、雑木林などの手入れが不十分となっており、人里のみならず市街地にまで熊が身を隠せる場所が増えたこと。

⑩そして、これまで山の近くなど比較的野生動物に遭遇する可能性が高い環境にある方々や、山菜などの採取に入られる方々、登山される方々などは、熊遭遇に対する相応の注意や知識などを備えているものの、『住宅街でバッタリ遭う』というケースに関しては、当該住民が熊の習性や対処法の知識を身につけておらず、適切でない回避を行なってしまうことでその被害が深刻化してしまうこと、などです」

「今回、新屋で被害に遭ってしまった人たちは、全員が背中に傷を受けたということでした。背中を見せて一目散に走って逃げてしまったのでしょう。熊は100mを9秒で走るのです。到底逃げ切れるものではありません。そして逃げるほど追いかけてきます」

ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。

ネイガー「上記を踏まえた上で『なぜこのようなことが起きているのか?』ということを自問自答の形を取って疑問として提示することで、フォロワーのみなさんの原因への気付きや解決に向けたディスカッションに発展することを期待していたのですが……反響は『川を渡ってきた』『河川敷を伝って降りてきた』などと、熊の侵入経路を推理、指摘するだけのものに終始してしまいました。SNSとは難しいものですね(笑)」

「私の結論としては、その最たる原因は人口減、それに伴う『熊が人間の領域を開拓している』ということに尽きます。コロナ禍で外出の自粛などが3年余り続きましたが…今後は熊による外出自粛が始まるのでしょうか。不安です。住宅街に熊出現という今回の投稿でしたが、最近は秋田市飯島地区で住宅街どころか住宅敷地内にまで熊が出ています」

◇ ◇

つくづく人間と野生動物の共生は難しいもの。なにか人的被害を軽減する画期的なアイデアがあればいいのだが。

超神ネイガー関連情報
Xアカウント:https://twitter.com/neiger_akita
公式サイト:https://neiger-info.com/

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