ネグレクトの多頭飼育崩壊
2024年2月6日、福岡県で保護活動をしているCさん(chimaki55.kinako1225)さんに、「大牟田市で多頭崩壊が起きた。20頭の猫さんが置き去りにされている」という連絡が入った。Cさんは連携しているYさん(you102518Y)に連絡を取り、すぐさまYさんと近隣のボランティアと4名で現場に向かったという。
「置き去りにされてから1週間経っているということだったので、とにかく生きていてと祈る気持ちでした。結果、まだ飼い主は退去しておらず一緒に暮らしていて、みんな命は無事でした。」
しかし、ほっとしたのも束の間、飼い主の許可を得て家に入ると6畳の部屋に23匹いてみんなガリガリに痩せていた。トイレはたった一つしかない状態。2階にも4匹の猫がいて、引っ越してくる前の部屋にも7匹預けたまま。都合34匹の猫がいた。
猫たちはすごく性格が良くて、ボランティアにもゴロスリしてきたそう。飼い主は10年ほど前から精神病を患っていて働けない状態で、まだ学生の子ども達がバイトして生活費を稼いでいたという。
「飼い主はかなり前からアニマルホーダーであり、猫たちをネグレクトしていたことが分かりました。アパートの退去期限が1月だったのを先延ばしてもらっていることも判明し、家を早急に明け渡さないといけない差し迫った状況でした。」
人も猫も救いたい!
飼い主の話は毎回コロコロ変わり、始めはこの子は残す、この子は大事な子だから出さない、この子は長女が大好きだから、この子は人気だから欲しい人がいるなど、さまざまな言い訳をした。
「本当にそんなにあちらこちらに欲しい人がいるの?預かってくれる知り合いがいるの?と疑問に思いました。本当なのか嘘なのか分からないことばかり。猫を引き渡してくれませんでした。携帯すら持っておらず、メールか自宅に行って話し合ったのですが、泣きじゃくるばかりで話にならないこともありました。」
ボランティアは怒りを抑えながら、飼い主家族みんなが納得する形で引き渡してもらう道を探った。
「親だけなら怒鳴り散らし強引に引き渡してもらうけど、親の顔色を伺いながら話す子どもたちがかわいそうで。きっと、子どもたちが一番よく分かっていて辛いのだと思いました。猫も人も救いたいと思いました。きれいごとと言わるるかもしれないけれど、実際会って話すと、お母さんもずっと前から苦しんできたことが分かりました。」
子どもたちが説得してくれたのか、飼い主はやっと変わろうと決心してくれた。
「SOSを出したくてもできなかった、その一声が出せなかったと言っていました。何度も何度もSOS出そうとしたけど怒られると思ってと。人が怖くて怖くて溜まらない精神状態の方でした。やっとSOSを出して決断してくれた家族も救いたい!そう思いました。」
1匹、腎臓が悪く会陰尿道瘻術をしている子がいて、その子は責任もって最後まで面倒を見ると言うので飼い主の元に残すことにした。残る32匹は不妊手術をして一旦飼い主のところに戻したが、退去期限は3月15日に迫っていた。ボランティアたちは手分けして預かることにした。
外で飼っていたという片目の眼球がないちょこ丸くんは、一目見てやばい!と分かるほど健康状態が悪く、不妊手術もできなかった。
「もっと早く病院に連れてってくれたら、もっと早く家に入れてあげてたら、もっと早く保護できてればと思いましたが亡くなってしまいました。」
他にもエイズ陽性の猫が見つかったり、お腹を壊したりする猫もいた。ボランティアが預かれる頭数にも限界があるが、譲渡会を開催するたびにトライアルが決まり、猫エイズの猫も里親が決まった。ただ、まだ譲渡できていない猫も20匹ほどいる。今回、大牟田市猫多頭崩壊緊急レスキューチーム〜すみねこ〜は、インスタアカウント(sumineko.2024)を作り、譲渡会情報を提供したり、医療費や食費などの支援を募ってたりしている。ご興味のある方はご覧ください。