「日本舞踊家元」藤間爽子、「バブリーダンス」の伊原六花 朝ドラ「ブギウギ」踊りのシーンには“本物”たちが勢ぞろい!【制作スタッフに聞く】

佐野 華英 佐野 華英

連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK総合)の舞台が昭和8年(1933)に移り、ヒロイン・鈴子(趣里)は18歳になって、ほかの登場人物たちも子役から本役へとバトンタッチした。鈴子の幼なじみで、芸者見習いとなったタイ子の本役をつとめるのは藤間爽子。第12話で、梅吉(柳葉敏郎)が書こうとしている芸者が主人公の映画脚本の“シナリオ・ハンティング”のために、はな湯に呼び出されての“初登場”となった。

タイ子役・藤間爽子は日本舞踊家元にして劇団女優

「芸者見習い」役としての着物の着こなしが実に美しかった藤間。それもそのはず、人間国宝で藤間流宗家の舞踊家を祖父にもち、生家は代々続く日本舞踊の名門。自身も紫派藤間流の家元をつとめるという才媛なのだ。

同時に、長塚圭史が主宰をつとめる劇団・阿佐ヶ谷スパイダースにも所属するという、異色の経歴を持つ藤間。近年のドラマ出演では、『silent』(フジテレビ系)でヒロイン・紬の親友・真子役や、『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)で結婚前提交際に発展しながら向井くんをフッた原チカ役が記憶に新しい。

藤間のドラマデビュー作『ひよっこ』(2017年)で演出もつとめていた、『ブギウギ』の制作統括・福岡利武さんは、彼女の魅力についてこう語る。

「『ひよっこ』でご一緒させていただいたときから、とても魅力的な方だと思っていました。タイ子は今、芸者見習いで、その先は芸者になっていく女性ですので、着物の着こなしや所作、そして踊りに説得力のある方が演じてくださるといいな、と思っていました。藤間さんがタイ子役に決まり、当たり前ですが、踊りも、着物の着方と立ち振る舞いも、本当に美しくて。若い方で、あそこまで着こなせる方はそういないと思います。その美しさが、映像にきちんと出ていると思います」

今後はタイ子が日本舞踊を披露するシーンも登場するという。エンターテインメント色たっぷりの本作のキャストには、日本舞踊家元である藤間や、かつてはプロのバレリーナを目指し、バレエ留学の経験もある趣里をはじめ、OSK日本歌劇団の現役女優・翼和希(橘アオイ役)など、各分野の「本物」が勢ぞろいしている。

後輩・秋山を演じる伊原六花によるキレッキレのダンスに注目

また、第10話の最後、レビューのシーンから登場し、花咲歌劇団から梅丸少女歌劇団(USK)に移籍してきた男役で、先輩の立ち位置を脅かす実力派、秋山美月を伊原六花が演じる。彼女は「バブリーダンス」で一躍有名となった強豪、大阪府立登美丘高校ダンス部のキャプテンをつとめたという経歴を持つ。伊原について福岡さんは、こう語る。

「OSK日本歌劇団を含め、様々な歌劇団を取材させていただいた中で、歌劇の世界は『飛び抜けた才能を持つ若手がいれば、先輩であろうとどんどん追い抜いていく』という、厳しい実力社会であることを知りました。これはぜひドラマに取り入れたいと思い、『才能あふれる後輩役』をどなたに演じていただくのがいいかと考え、伊原さんがぴったりなのではないかと思いました。

伊原さんは、言わずもがな歌も踊りもお上手で、度胸も据わっていて、舞台で映える。シビアな役柄である秋山美月をとてもうまく演じてくださいました。伊原さんがいるシーンは非常にピリッとします。でもカットがかかったとたん、すぐにみんなで笑ってキャッキャとなるんです。素顔の伊原さんは爽やかで、本当に気配りの人です」

こうした「本物」たちが本気で取り組んだ『ブギウギ』のさまざまな「踊り」のシーンに、ぜひ注目していきたい。

   ◇   ◇

『ブギウギ』

【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00〜11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽BSプレミアム・BS4K
毎週月曜〜金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25〜10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)

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