カラスに襲われて背中に穴が…保護した子猫は下半身麻痺だった 「安楽死も覚悟を」と言われるも大きく成長 ハチちゃんは3歳に

古川 諭香 古川 諭香

「絶妙な距離を保ちながら、近くにいるところがかわいい。私がトイレやお風呂にいると廊下や同じ空間に来るのに、ハチについていくと迷惑そうな顔をする時もあって愛おしいです(笑)」

愛猫ハチちゃんのかわいさを、そう語るのは飼い主のナナさん。

2020年6月8日、ナナさんは怪我をして動けなくなっていたハチちゃんを保護。病院へ連れていくと、下半身麻痺であることが判明しました。

カラスに襲われた子猫を保護!下半身不随であることが分かって…

保護時、ハチちゃんはカラスに襲われて背中に穴が空き、膿が流れている状態。肉や骨が見えてはいましたが、飼い主さんは下半身が麻痺しているとは思いませんでした。

そのため、動物病院で下半身麻痺であることを告げられた時は驚きとショックで頭が真っ白に。すぐに治療が始まりましたが、状態は悪くなるばかりでした。

そこで、飼い主さんはセカンドオピニオンへ。そこでは手術を勧められましたが、体の状態が酷かったことから安楽死も視野に…との言葉が。

治療すれば当たり前に元気になると考えていた飼い主さんは、人目もはばからず涙。ハチちゃんが当たり前にいない未来や、これがハチちゃんと過ごす最後の日かもしれないという現実の悲しさに打ちのめされました。

けれど、ハチちゃんの生命力と獣医師を信じ、手術を受けることを決意。同時に、ハチちゃんの命を守っていく覚悟も固めました。

「自力で排泄ができないので、毎日、膀胱を圧迫して尿を出さなければいけません。どんなことがあっても毎日必ず、尿を出さなければ命に関わることは素人の私でも、すぐに理解できました」

ハチちゃんの心を最優先にしたお世話をし続ける日々

ハチちゃんを思う気持ちが通じたのか、手術は無事、成功。おうちで暮らせるようになるも、ハチちゃんは怖がり、威嚇。しかし、ご飯を口元に持っていくと、ペロペロする無邪気さを見せてくれました。

お迎え2日目には飼い主さんが近くにいないと泣き喚くようになったため、布団をリビングに敷いて添い寝。

「夜中に押し潰してしまわないか不安で、何度も目を覚ましながら一緒に寝ていたのを覚えています」

成長を見守る中で、飼い主さんはハチちゃんが快適に暮らせるよう、様々な工夫をしてきました。子猫期にはベッドやソファーなど、背の高い家具は全て処分。床にはクッションフロアを敷き詰め、段差があるところにはスロープを設置。

便は自然に出るため、抗生剤でゆるくなった時には汚れた体をシャンプー。水嫌いのハチちゃんは暴れて、飼い主さんの唇を流血させたこともありました。

そうした時でも、飼い主さんは無理せず、猫ファーストを意識。SNSなどを活用して、お互いにストレスを感じにくいやり方を模索し、自分たちらしい暮らしを確立させていきました。

「圧迫排泄以外でお世話が必要なことは、ほとんどありません。しいて言えば、足が引っかからないように物をどかしたり、物が引っかかっていたら助けてあげたりするくらいです。圧迫排泄も私にとっては、トイレ掃除と同じです」

飼い主さんがそうしたスタンスであるからこそ、ハチちゃんも自然体。夜中に走り回っておもちゃで遊んだり、高速ダッシュや高速スピンを披露したりと自由奔放な姿を見せます。

「ハチは全く足が動かないわけではありませんが、4本足で歩くことやジャンプはできません。でも、遠心力をうまく利用した高速スピンや高速ダッシュは得意です」

ハチちゃんは自分の足が動かないことを理解しているようで、足が引っかからないように旋回することも。登れない高さの時は、飼い主さんにお願いをしてきます。

「色んな意味でおもしろいなあと思いますし、不可能なことはないのだと教えてくれます。大きくなった今は安全に気をつけながら、ソファーなどを再設置しています」

SNSやYouTubeで救ってもらったからこそ今の自分たちがある

そんなハチちゃん、実物はとにかく大きいのだそう。飼い主さんによれば、初対面時の第一声は「デカ!!」であることが多いのだとか。

「多分、みなさんが想像する2倍はあると思います(笑)太っているわけではなく、体格が大きいです」

だからこそ、ビックボディに似合わない臆病さや甘えん坊な仕草に、飼い主さんはギャップを感じて胸キュン。テーブルに頭をぶつける、おっちょこちょいな姿に笑顔をもらってもいます。

「私から抱っこをしたりくっついたりすると嫌がりますが、ゴロゴロしている時や布団で寝ていると必ず隣に来たがり、くっついて寝ます。私が使っている毛布が好きなだけ説もありますが…(笑)」

魅力満載なハチちゃんは、SNSでも大人気。ファンのからのリクエストを受け、飼い主さんはオリジナルグッズも制作しました。

「欲しいグッズを具体的に言って下さる方もいますし、ハチのオリジナルグッズを作り、その収益を保護団体様へ寄付されている方もいました。ファンの方は、本当に優しくて素晴らしい方ばかりです」

そう語る飼い主さんはハチちゃんのお世話に悩んだ時に救われた、SNSやYouTubeで情報を発信し、今度は自分が誰かの役に立ちたいと考えています。

「ハンデがあってもなくても、命ある者のお世話の大変さがあるのは同じと思っています。しかし、そうはいっても周りのサポートは必要。とにかく周りに頼り、SNSも活用してほしいです」

ハチと出会えて、本当にたくさんの素晴らしい方々と出会うことができて嬉しい――。そんな喜びを噛みしめる飼い主さんのもとでハチちゃんはこれからもよく食べ、よく遊び、笑顔溢れる1日を積み重ねていきます。

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