悪質なブリーダーの繁殖引退犬
おもちちゃん(6歳・メス)とは、譲渡会でお見合いし、トライアルを2週間行い家族になった。
おもちちゃんは、千葉の悪質なブリーダーの元から救出された繁殖引退犬だった。飼育員を噛まないよう犬歯が折られていて、ケージに閉じ込められていたからか前脚の関節がO脚気味になっている。フィラリアも陽性で現在治療しているという。
東京都在住のちとぺさんは、実家がペットNGだったのでずっと動物と生活したいと思っていた。
「学生の頃ハムスターを飼ったことはありましたが、河川敷を犬と散歩したい〜!と、川が近いところのペット可物件に引っ越したのがきっかけで、犬を飼うことにしました。」
その後、2022年3月におもちちゃんとお見合いし、2週間のトライアルを経て家族になった。当時、ちとぺさんは20代の一人暮らし。審査を通過するのは珍しいケースだったという。
生きて10年と宣告
白い柴犬だが、背中と耳が淡い茶色で焦げて見えるので「おもち」と名付けた。保護団体のスタッフに家まで連れてきてもらい、部屋に放すと、隅々まで自由に闊歩した。ちとぺさんは、「肝が据わった子だな」と思ったそうだ。
「保護団体の方が帰られた後、私は犬の飼育が初めてだったので距離感が分からず、おもちも悲しい過去のトラウマがあるかも・・・?!と少し遠くから見守っていました。でも、おもちは優雅に私のところまでポテポテ歩いてきて座り込んだのです。私は、恐る恐る頭を撫で、私より人生(犬生)経験豊富で度胸があるな〜と思いました。」
あまりにも大人しく全く吠えないため、劣悪な環境で繁殖犬をしていた過去があるからかと心配したちとぺさん。病院で、「何か原因があるのでしょうか…」と神妙に調査を依頼した。しかし、ただ「落ち着いた性格」ということだった。
「診察中も全然動かないので、『ありがたい性格だね』と獣医さん達に喜んでいただいています。大人しく肝の据わった性格で、出産と子育て経験があり、人間の年齢で言うと私より年上なことも踏まえ、敬意を表して”マダム”とたまに呼んでいます!」
おもちちゃんと暮らして、家にいる時間がかなり豊かになったというちとぺさん。
「可能な限りおもちを連れて外出します。買い物など短時間の外出から帰宅しても、尻尾ぶんぶんで出迎えてくれて家族を感じます。在宅の仕事中はおもちに監視されていますw 大変悲しい話ですが、迎えた時点でフィラリアに寄生されて心臓が悪いため、かかりつけの獣医から『生きて10年』と宣告されています。おもちは推定6歳なのであと4年ほどです。残りの時間をめいっぱいおもちと楽しみたいですし、素敵な思い出をこれからもたくさん作ります!」
心臓が悪いのでペット保険に入れず治療費がかさむおもちちゃん。「稼いでおもちを幸せにします!」と語るちとぺさん。一層仕事に熱が入るようになったという。