弁護士、税理士、司法書士の3団体が共同でインボイス制度に反対声明 過重な事務負担、消費者や労働者へのしわ寄せ…「社会的な悪影響」に警鐘

黒川 裕生 黒川 裕生

事実上の増税とも言われる適格請求書等保存方式(インボイス制度)が10月1日に始まるのを前に、弁護士、税理士、司法書士の3青年団体が9月14日、制度の廃止を求める緊急記者会見を開きました。「事業者の負担だけでなく、それが消費者や労働者に転嫁されるおそれがあり、社会への悪影響が懸念される」などとして、法律や税の実務を担う立場から、あらためて反対の姿勢を強く表明。インボイス制度に関して3士業が合同で反対を訴えるのは初めてのことといい、間近に迫る“Xデー”に向けて、制度に抗う声はますます大きくなっています。

衆議院第一議員会館で会見を開いたのは、青年法律家協会弁護士学者合同部会、全国青年税理士連盟、全国青年司法書士協議会の3団体でつくる「全国三青会」。各団体の代表者らが登壇し、反対声明や決議文を発表しました。

青年法律家協会弁護士学者合同部会の反対決議では、インボイス制度の登録手続きや適格請求書の発行、保存業務など、制度によって生じる「過重な事務負担」を問題視。「それにより、全事業者が負担するコストが重くなり、非効率である」「単に費用負担の問題だけではなく、経理事務作業量の増加による人的負担も増大する」とした上で、これらの負担増が「特に経済的・人的リソースが乏しい中小零細の事業者やフリーランスほど(略)過重になるという問題がある」と強調しています。

またインボイス制度はその複雑さ、わかりにくさも度々指摘されています。登壇した全国青年司法書士協議会の荘原直輝会長は、声明の中で「本来、税制は納税義務者である国民にとってわかりやすい制度であることが求められるところ、インボイス制度は制度設計が大変複雑で容易に理解できるものではない」と、この点を追及。「免税事業者の中にはよく理解ができないまま登録をし、後に思いがけない税負担に苦しむ者が現れることは想像に難くない」などとして、「制度内容の周知は不十分であると言わざるを得ない」と批判しました。

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インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)は9月25日(月)18時半から、官邸前アクションを予定。「岸田総理に50万人分のインボイス反対の声を届けよう」を掲げ、現在もオンラインでの署名を呼び掛けています。9月19日午後の時点で署名の数は39万6000余り。「制度にNOを突きつける最後のチャンス」とする同会のSNS投稿は1.4万回リポストされるなど、反響が広がっています。

▽署名サイト chng.it/CFQFCXKsnd

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