「このちゃんがしっぽを振って寄ってきてくれる未来が全く想像できなかった1年前から、ここまで変化しました…」
元保護犬のビフォーアフター動画がTwitterで話題になりました。
投稿したのは、飼い主の「このっち家の住人」さん(@konokonohouse)。動画の元保護犬は、このちゃんといいます。1歳7カ月(推定)の男の子です。飼い主さんによると、ビフォー動画はこのちゃんをおうちに迎えして2カ月ほど経った際に撮影したもの。カメラを向けるとおびえるようにソファの後ろに後ずさりをしながら隠れてしまっていましたが…アフターの動画のこのちゃんは、しっぽを振って近づきおやつをもらっています!
そんなこのちゃんの”変身ぶり”に「表情が全然違う!!!」「変化を見ると別犬みたい」「凄い〜皆さんの力で〜こんなに愛される姿に」と驚く人や感激する人たちからたくさんのコメントが寄せられています。
多くの人たちの心をわしづかみにしたこのちゃんのビフォーアフター。おうちにお迎えした時のことや現在の様子などを、飼い主さんに聞いてみました。
保健所に保護された犬 ボランティアが「この世の終わりみたいな表情をするから」→「このちゃん」と名付けた
――ビフォーアフター動画で話題を集めたこのちゃん。お名前の由来は。
「このちゃんは野生から保護されて保健所にいたところを、保護ボランティアさんが一時的に引き出していた子でした。その保護ボランティアさんが里親募集をしていたところに応募して引き取ったんです。すでに『このちゃん』という名前でした。
面会の際に保護団体の方になぜ『このちゃん』という名前なのか聞いたところ、気まずそうに『この世の終わりみたいな表情をするから…(苦笑)』と言われて。私たちに初めて会ったときのこのちゃんは確かにこの世の終わり感を醸し出していたので、何だか笑ってしまって、もうその名前以外考えられなくなって。『この世の光を感じられるようになれば』という願いも込めて、そのまま『このちゃん』となりました」
――「この世の終わり」でこのちゃんですか…おうちにお迎えしたばかりのときのこのちゃんの様子を教えてください。
「里親募集サイトに掲載されていたこのちゃんの動画がとてもかわいくて、夫と相談しておうちにお迎えすることを決めました。おうちに来た当日、とにかく全力で逃げ出そうとしていて、部屋の中でとっさに逃げ込んだリビングテーブルの下がこのちゃんの居場所になりました」
――最初は警戒していたようですが…少しずつ心を開いていったようですね。
「はい。とにかく無理に構い過ぎないことを意識しながら、少しずつ環境に慣れるお手伝いをしてきました。例えば、なかなかテーブルの下から出てきてくれなかったときは、テーブルの外の世界に慣れてほしくて少しずつテーブルが置いていない時間を増やしていくようにしました。最初は部屋の片隅におかれた犬用ベッドの上で居心地悪そうにしていましたが、しばらくするとソファの快適さを覚え、その後テーブルを戻しても、もうテーブルの下には隠れなくなりました」
最初の2カ月ほどはテーブルの下にもぐって過ごし、3カ月過ぎてようやくお外に…!
――とても怖がりさんで、最初の2カ月ほどはずっとテーブルの下にもぐって過ごし、3カ月過ぎてようやくお外に出られるようになったとか。
「そうですね。お散歩もはじめたばかりの頃は、無理に長い距離を歩かせるようなことはせず、あくまでこのちゃんが頑張れる距離だけを歩く練習をしました。最初の頃は、緊張でうんちもおしっこも出ませんでした。近くを通る車や人に驚いて転げ回ってパニックになったことも何度もありました。でも、お外を歩くと他のワンちゃんに会える、という喜びを覚えたころから、お外にでることを楽しみにするようになってきました。ソファを陣取り、お外に出るようになったこのちゃんに対して何かを積極的に意識したことはないですが、一緒に散歩を重ねるうちに、自然と心の距離が縮まった気がしています!」
――今回ビフォーアフター動画を投稿されましたが、臆病な様子のこのちゃんと比べて、今のいきいきとした表情を浮かべるこのちゃんについて、ご感想をお聞かせください。
「最近の動画はお外で呼び戻しの練習をしていました。全然表情が違うな、こんなに表情が変わるんだな、というのが率直な感想です。お散歩に出始めた頃から、このちゃんのことを知っている人たちもみんな『表情が変わった、安心した表情になった』と言ってくれます。また、このちゃんに笑顔が増えてきたと感じるのはお散歩ができるようになってから3、4カ月目かなと思います」
保護犬をおうちにお迎えしたら…?
――これから、このちゃんにどんなワンちゃんになってほしいと願っていますか?
「このちゃんはこのちゃんのままで、とにかくのびのびとしてほしい。お友だちとたくさん触れ合って、このちゃんを取り巻く世界の優しさを感じてほしいです。全身でこの世の素晴らしさを感じながら生き抜いて。そしてもし気が向いたら、このちゃんの大好きなお友だちがこのちゃんにしてくれるみたいに、私の顔をペロペロとなめてくれたらいいな。そう願っています」
――これから、このちゃんのような元保護犬をおうちにお迎えしたいと考えている人たちへのアドバイスやメッセージを。
「まず始めに『なぜ自分は保護犬を受け入れたいのか』ということにちゃんと向き合ってみることは大切かなと思います。保護犬と一言でいってもさまざまなタイプがいますが、どの子を受け入れるにもある程度の根気強さと忍耐が必要だと感じます。なので、犬の一生に責任を持って根気強く向き合う気持ちがあるかどうかを自分に問いたり、ご家族と話し合ったりしてほしいです。
その覚悟の上で保護犬を迎え入れたら、あとはとにかく信じることかなと思います。そのワンちゃんにとって最適な距離感をつかみ、大好きだよ~というビームを送り続ける。根気強く付き合えば、絶対に慣れてくれます。不安になったらSNSなどで同じ境遇の飼い主さんを探してみてください。私自身も不安を抱えていた頃に、SNSで知り合った保護犬オーナーの先輩方から励まされ勇気づけられてきました。『大丈夫、ぜったいに慣れるから!』って。信じてがんばってください」