接客しない、売上を重視しない、店内はわかりづらい…なぜ人気? 女性が行列する話題店の理由とは

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ほかのショップでは在庫がある商品でも売り切れていたり、レジでも行列が珍しくないほど人気のセレクトコスメショップ「@cosme STORE(アットコスメストア)」。実は、「接客しない」「店は見渡しづらい」「売上を第一に求めない」と、企業からするとマイナスに思えそうな方針が功を奏している。どういう狙いなのかを取材した。

美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営する「アイスタイル」(東京都港区)グループによる同店は、2007年に1号店を新宿にオープン。現在国内に28店舗、海外では3店舗を展開している。

関西の人気商業施設「ルクア大阪」からのリクエストもあり、西日本最大規模となる旗艦店「アットコスメ大阪(以下、大阪店)」(大阪市北区)が9月1日にオープン。デパコス(デパートで販売されている化粧品、カウンターがあり高級志向のブランドが中心)の「シャネル」「スック」も同店として初めて加わり、「化粧品業界での見られ方が変わり、出来ることがグッと増えてきた」と代表取締役社長の遠藤宗さんが語るように、プチプラから高級ブランドまでが注目しているブランドへと成長している。

ちなみにプチプラと高級ブランドが同じ店内に並ぶというのは画期的だ。雑誌であれば、高級ブランドが、そのページで並ぶ商品に対して掲載可否を判断することも珍しくない。ましてや店舗であれば、そのハードルの高さはなおさら。しかも同店は、商品をテスターで試せるとあって、数百円と数万円の商品(ちなみに高額商品はスタッフへの声がけを)も、比べられ、品質が見極められる恐さもある。それを凌駕する魅力があるということなのだ。

はたして、どういった点が人気につながっているのか、遠藤さんに詳しく聞いた。

お客さまのために…接客しない

関西の店舗はこれまで面積が限られ、混雑していたのもあるが、客側として見ていた限り接客の印象は薄かった。「お客さまが望まない限り、積極的な接客はいたしません。スタッフにも必ずしも今日売らなくていい、もしもお客さまが悩んでいたら、”今日は買わない”ことを勧めるようにと伝えています。気軽に入って、出られるお店であることを大事にしています」と遠藤さん。

そこで、気になるのは”買わなくていい”と言われた客側の反応だ。実際に、買わずに帰ることも多いらしいが、改めて来店する客も。特に印象的だったと話してくれたのが、翌日に戻ってきた客。悩んでいた商品は1点だけだったにも関わらず、5万円分も購入。その理由が「そんな言葉をこれまで言われたことなかったからだ」という。ほかにも買わなくていい気軽さを実感して、友だちを連れてくる客と顧客拡大へと結びついているそうだ。

はたして、接客できるのか? 

と、考えるとスタッフにコスメの知識が必要ないのではないのか?と思ってしまったが、「少なくとも2カ月に1回ペースでスタッフが本社で研修を受けるほか、取り扱いブランドの研修にも積極的に参加しています。また、当社は、他社の化粧ブランドの研修プログラムを組んでいる実績もあります。特定のブランドに所属すれば自社商品には精通していても、他社については詳しくないかもしれませんが、ここでは多様なブランドを取り扱うため、各ブランドの特徴などを把握した上で、お客さまにプチプラ、デパコス関係なく提案できます」とのことだ。

その結果、他店舗の接客でつい買ってしまった高級ブランドの使用法に困惑し、「これをどうやったら、手持ちのコスメと合うように使えるか」と常連が駆け込んできたこともあったそうだ。そんなスタッフの実力は、店舗でも落ちづらいと話題のリップをさらに落ちにくくさせる方法や、今トレンドとなっている中国風の「千金メイク」の肌の仕上げ方も、多種ブランドのアイテムを使って仕上げる方法などを聞いていると実感することができた。

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