「ペットショップではお金さえ出せば誰でも買うことができます。この子は10日位前にペットショップで購入され、昨日手放されました…。生後半年のMIX犬です。譲渡センターだけでも年間10件くらいこの様なケースがあります。全国だとすごい数なんだろうなあー。今一度、飼う前にしっかり考えて欲しいものです!」
そんなつぶやきと共に、1匹の子犬の写真をX(旧:Twitter)に投稿した、センター長の保護犬保護猫活動日記(@sasaki_inuneko)さん。投稿には3万2千以上のいいねがつくと共に、約600件もの憤りの声が寄せられた。
「おもちゃ」や「アクセサリー」じゃない
「ひどいな…」
「たった10日で?オモチャじゃなくて命なんだが」
「生き物をアクセサリーと勘違いしてるヤツ多すぎませんか!?」
「こういうのを見ると日本の今のやり方を変える必要がある。ブリーダーに直接交渉しないとダメとか。動物を家族と思う人しか飼えないようにしてほしい」
投稿者であるセンター長さんは、「無責任飼い主ゼロを目指して」をスローガンに、主に一般家庭から飼育放棄された犬猫の保護と里親活動を行なう「NPO法人 みなしご救援隊 犬猫譲渡センター」の理事長兼センター長。
犬猫の保護状況を熟知するセンター長さんによると、今回のように、「ペットショップで購入した子犬」を飼育放棄する事案は多く、その主な理由が、「しつけが出来ない」「思っていた以上に吠える」といった、飼い主側の無知や無責任によるものだという。
人間側の無知が招く「ペットショップで購入された命の悲劇」と「ペットを飼う前に知っておくべきこと」について、センター長さんにお話を聞いた。
「こんなに鳴き続けるとは思わなかった」
ーー写真のワンちゃんは、生後6ヶ月になる、トイプードルとビションフリーゼのミックス犬の女の子だそうですね。どんな経緯で保護されたのですか?
「元の飼い主さんから保護依頼の電話がありました。もともとうちでは、”やむを得ない事情”がない限り、保護はしません。今回の場合、やむを得ない理由ではなく、要は、しつけがうまく出来ない、こんなに鳴き続けるとは思わなかった、という理由でした。なので、犬を買った段階で『終生飼育の努力義務』が発生するため、余程のことがない限りは最後まで飼わないといけないという法律もある。まだ飼ったばかりだし、環境に慣れれば犬も変わってくると思うので頑張ってみましょう、とアドバイスをしました。
じゃあ頑張ってみます、とのことだったんですが、その1時間後にまた電話があって、妻とも話し合ったが、1週間ほど頑張ったがこれ以上は耐えられない、仕事にも影響が出るから保護してください、とのことでした。そこまで決断されてしまったら、それ以上飼ってくれと言うのは、その人のためにも犬のためにもならないですからね。もう2度と犬は飼わない、という約束をしてもらった上で、保護することになりました」
ーー実際、このミックス犬ちゃんは問題がある子なのですか?
「僕もこの子と何日か一緒に過ごしましたが、特に何の問題もない子でした。まだ子犬ですし、最初は環境が変わるので不安だから、何日かは当然のように鳴きますよね。トイレもまだ覚えてないですから、飼い主さんが仕事から帰ると床やケージの中はぐちゃぐちゃだと思うんです。そういうことが許容出来ない人には難しいと思いますが、僕からすれば、この子のどこが飼いにくいのかな?と思います……」
ーー今回のような理由で、ペットショップで購入した直後に飼育放棄するケースは多いのですか?
「多いですね。うちだけでも年間15件はあります。他にも多いのが、家族や子供にアレルギーが出たから、というケースです。これはもう、事前に病院で家族全員のアレルギー検査をしてから飼うべきなんですよ。もちろん、検査をした時には陰性で、なぜか飼い始めた後に発症するケースもあるので、そういった場合はやむを得ないと思うんですけどね」