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衰弱した小鳥を保護→SNSで飼い主を探すと「ちゃんと世話しろ」 不要な”善意”に苦言「やらない人は口だけ出す」「なぜ高圧的?」

谷町 邦子 谷町 邦子

迷子になったボタンインコの飼い主を探すため、SNSで投稿したら…思わぬことに。大量に届いたコメントのせいで、精神的に追い詰められたという投稿主の花沢りん吉さん(以下、花沢さん)に話を聞きました。

コメントに飼い主につながる有益な情報はなく、愛鳥家の花沢さんにとって知っている情報ばかり…飼い主が見つかるまでちゃんと面倒を見るように強いる文面が大半でした。

「誰もが、気軽なお迎えには反対するのに、突然、目の前に飛んで来た仔の面倒は見ろと言う。突然、他人に所有する権利のある生き物の責任を負わされる側の人間の身になってみて欲しい」と花沢さん。保護した人への無理解をSNSで訴えたところ、賛同する意見が次々と寄せられました。

「迷子の子に対するリプが過激化してるのは問題だよ。もっと想像力をもってほしい。あとね、口を出すならお金も出して欲しいんだよ」
「保護出来なかったや警察に預けたって書けばかわいそうやもう一度保護してって言われる。みんなじゃないけどひどい言葉を浴びせられる。そりゃあ保護して飼い主さんへ届けたいですよ。余裕あるなら」
「人間の子供が迷子になれば警察へ預けるのが普通です、普通の人は家で面倒をみません。当たり前の常識ですがペットになると分からなくなる人達がいるようですね」
「『〇〇しろ』とか言うのって結局『口出しだけして自分も助けた気になってる』だけなんだよね」

同様の経験をした人もいたほか、「自宅に他の子いたら、病気がうつる心配もあるから、したくても出来なかったりするよね…もちろん健康状態によっては治療費かかるし」と保護できない事情を擁護する人もいました。

花沢さんは、弱ったインコをチュン太と名付けて、介護するとともに飼い主探しに奔走。警察に届け出て、近隣の施設や動物の保護施設にも電話し、保護した月の電話料金は「ゼロがひとつ多かった」と金銭的な負担も軽くはなかったそうです。

そんな大変な日々が続くなか、「1年後に元の飼い主さんが見つかった例もあるので頑張って下さい!」となんの責任感もない言葉に、傷ついたといいます。最終的には、10年経った今も見つからず、家族の一員となったチュン太。保護側ならではの苦悩について、花沢さんに詳しく聞きました。

「意見することで…相手の貴重な時間を奪っている」

――飼い主探しをした経験を改めて振り返ると?

「ペットを保護したことをSNSで発信すると、住んでいる場所など個人情報も広まってしまいます。保護した側は、いつまで自分の個人情報を垂れ流ししなければならないのか? コレも悩むことなんです。飼い主を探すなんて、探偵でもない素人には雲を掴むような話です。

こういったときに、SNSの拡散に協力したり、黙って見守っていたりする人が大多数だと思うのですが、チュン太を保護した時は次々と連絡が届き困りました」

――不特定多数の方から「保護して」「世話して」といった依頼や、飼い方のアドバイスが…。

「私のプロフィールを少しでも確認していただければ、私がインコを飼っていて、詳しいことがわかるはずです。ただ拡散されたツイートだけ見て、自分が言いたいことを伝えたいだけの人が多かったです。しかも重複している内容がたくさん届きました。伝える側は「一言」であっても、保護した人にとっては「膨大な無駄な情報」が届く状態に。

こちらは、保護した鳥のお世話で大変なとき、でも、もしかしたら飼い主の連絡があるかもしれず、逐一チェックしなければなりません。親切心のつもりかもしれませんが、保護した人の貴重な時間を無駄に奪っていることを理解して欲しいです」

――保護を決意するのも大変なのですね。

「保護した側からすれば、逃げてしまった仔なのか、捨てられた仔なのかは、判断が付きません。動物の保護施設は常に満員の状態が何年も続いていますし、販売価格の安いインコは気軽に捨てられている仔も結構な数がいる気がしています。

しかも、保護したばかりのペットは健康状態が悪く、簡単に死んでしまいそうな状態です。そのいきものに応じた対応が必要で、だれでも気軽に保護できるものではありません。力及ばず、死なせてしまっても、責任は本来、逃がした側にあるのですが、どうもSNSでは保護した側に責任を背負わせようとしているように感じられます。飼い主や鳥を思ってひと言を伝えたくなる『老婆心的な気持ち』も分かりますが、ソコはぐっと堪えて、黙って見守る事も必要だと思います」

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