公園で中学生がたむろして喫煙…どうすればいいの? 警察からの言葉に「その選択肢思いつかず」「気が楽になった」 

宮前 晶子 宮前 晶子

「近所の平和な公園に、中学生と思われる子たちがたむろして、喫煙していました。危害を加えられたわけではないし、“これぐらいで110番しても良いのか?”、警察署がいいのかどうかで悩んだ」

迷える親羊☆志水恵美さん(@shimizoon 以下志水さん)が、警察署に連絡したところ、「駆けつけた警察官に、“こういう時は110番してください”と言われました」。

ほかにも志水さんのママ友の体験になりますが、女児の盗撮をする変質者に遭遇したとき、子供達を集めて警察署に電話してる隙に変質者が逃走。駆けつけた警察官から110番してと言われたとのことです。

事件や事故、トラブルなどに遭遇したり、目撃したら、110番!とわかっていても、とっさの場合、ただ呆然とするだけということはありえます。あるいは「これは110番しても良いのかな?」とためらうこともあるでしょう。

わかりやすい漫画でスマホやタブレットからの110番通報について描いた志水さんと、自身のSNSで発信する痴漢抑止活動センターの代表理事松永弥生さん(@scbaction 以下松永さん)に取材しました。

おかしいなと思ったら、110番!

「普通に生活していると、110番する人を見たことがないので、どんな時に通報していいのかわからない、真面目な人ほどいいのかな?と立ち止まってしまう。通報という行動を起こさず、スルーしてしまう人も多いのでは?」と志水さん。また、他人に危害を加えない、という社会のルールを守る気がない人がどれだけ怖いかは、対峙した人にしかわからないと話します。

電車・バス内の痴漢を未然に防ぐ活動を行う痴漢抑止活動センターの代表理事・松永弥生さんも、以前は、どんな状況で110番通報は可能なのか、はっきりとは理解していませんでした。しかし、活動を行うなかで、事件・事故・トラブルの遭遇・目撃はもちろん、おかしいなと思った時点で110番すれば良いことを知り、SNSで、折りに触れ発信しています。

YouTuberが女性にバストサイズを聞き出し、測定しようとした案件についても、「こんな時、110番してOKです。「事件ですか? 事故ですか?」と聞かれたら「事件です。不審者に絡まれてます。怖いからすぐ助けに来てください」と警官に伝えましょう」とSNSで訴えました。

すると、その投稿は2.9万件のいいね、1.3万件のリポストとなり、拡散。「怖いと感じたら通報していいって、わかってるだけで気持ち楽になる」「恥ずかしながらその選択肢が思いつかず」とコメントする人も。性的な行為に対して、男女ともに「犯罪」という意識が薄い感覚が浮かび上がってきました。

「正直、このツイートがバズるとは思っていなかったので、驚いています。“110番していいって知らなかった!”という人が多いためではないでしょうか?小さい頃から、事件や事故などに巻き込まれたら、目撃したら110番と言われていますが、実際、その状況に出くわすと、パニックになってしまうこともあるでしょう。日頃から、いざという時は110番と認知しておく必要があると思います」。

警視庁の公式サイトでも児童への声かけ、ストーカーなど緊急性が高いものなど、「警察官にすぐに現場へ駆けつけてほしいときは110番!」と伝えています。

スマホ撮影のヤジウマも協力者に

従来の110番通報に加え、事件・事故などの状況をスマホで撮影し、警察に通報することができる『110番映像通報システム』も半年間の試行運用を経て、2023年4月1日から本格運用に。試行運用期間の2022年10月から2023年2月末日までで、2293件の通報があり、容疑者逮捕につながった事例もありました。

志水さんは「どのような時にこのシステムが有効か」を漫画化。試行運用期間直前の昨年9月に投稿すると大きな反響を得ました。「事件や事故、トラブルがあった際、“周りの人が誰も助けてくれなかった”という声があがることも多いので、何もしない傍観者“ヤジウマ”を描こうと思いつきました。瞬く間に拡散されて、みんなが待ち望んでいた機能だよね!!!と、連帯感を感じました」。

「通信料は通報者負担ですが、“通信量気にしなくていい人!110番映像通報システムで送ってくださぁい!”って叫べますし、通信量多めに契約してる方に“トラブルに遭遇した時こそ、自分の役割をまっとうしよう”と撮影してもらえると心強いです。人混みでは傍観者効果(自分以外に傍観者がいると率先して行動を起こさなくなるという集団心理)が働き、誰も動かない、ということが起こりがちですが、いざという時、自分はどんな役割でなら助けられるかな?と想像しておくことは、とても大事だと思います。ぜひ率先して、被害者の代わりに通報、また加害者拘束をしていただきたいです」。

「映像通報というシステムに、ヤジウマを協力者に変える武器になるかも、自分も誰かを助けられるかもという小さな希望を感じています」と言います。

不審者・犯罪者と1対1での対峙は恐怖

ただ志水さんが、憂えるのは110番さえもできない状況です。「腕力で勝てない女性が、目の前に不審者や犯罪者がいる状態で110番できるかといえば、難しい。警察官が到着する前に殴られたりスマホを壊されたりするかもしれません。電話している間に逃げられてしまうと、何もしてもらえません。 “110番するのが当たりまえ”“しない人がダメ” と言われますが、正しい行動が取れないことの方が多いと思います」。

行動できなかった被害者を責めるのは、セカンドレイプという二次加害になる、と訴えます。「1対1では不利すぎることもあるんです。だから、第三者の手助けが必要。もちろん、被害者とご自身の安全は最優先ですが、110番通報も警察が来てからの証言も、撮影した写真やムービーも犯罪抑止の助けになります」。

通報されないことで加害者の行為を今後助長しないためにも、事件や事故、トラブルなどに遭遇したり、目撃したら、迷わず110番。自分が助けに行く勇気がでなくとも、記録するだけで被害者の助けになる映像通報システムの利用も忘れないでください。

110番通報では、係員から以下のような質問がされます。
・何があったか
・通報の何分前のことか
・場所 住所や目標となる店舗や建物、階数等
・被害や目撃の状況、けが人の有無
・犯人について 性別、人数、年齢、服装や逃走方向等
(警視庁公式サイトより)
焦ってしまうかもしれませんが、できる限り落ち着いて対応することが、迅速な対応につながります。

■警視庁サイトhttps://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/jiken_jiko/110/110_110.html
警察庁サイト

■警察庁110番映像通報システムhttps://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/110/app/index-2.html
■警察庁110番映像通報システム動画 https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg26975.html
(※110番映像通報システムを利用できないスマートフォンもあります)

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