「2年ぐらい幸せになれない役」の奈緒、確かな演技力ゆえオファーは難解な役ばかり 窪田正孝の言葉に吹っ切れた

磯部 正和 磯部 正和

 若手実力派として、映画やドラマに引っ張りだこの俳優・奈緒。最新作映画『スイート・マイホーム』(9月1日全国公開)では、俳優として活躍する斎藤工(監督名義では齊藤工)の現場で、非常に重要な役に挑んだが「気がついたら2年ぐらい、幸せになれない役が続いている」と気づいてしまったという。

 窪田正孝の言葉

 「映画に出たい」という思いで20歳のとき、福岡県から上京してきた奈緒。真摯に作品に向き合うその姿は、多くのクリエイターからの支持を受け、2021年には7本の出演映画が公開されるなど、映像界には欠かせない存在として活躍している。

 確かな演技力は製作陣に“難解”な役を想起させるのか、一筋縄ではいかないようなキャラクターを演じることが多い。2019年に放送されたドラマ『あなたの番です』の“尾野ちゃん”をはじめ、壮絶な人生を歩んだ映画『マイ・ブロークン・マリコ』(2022年)のマリコ、2023年7月まで放送していたドラマ『あなたがしてくれなくても』の吉野みちなど「奈緒ならでは」の表現力で、人物を立体的に演じた。

 奈緒自身も「気づいたら2年ぐらい、なんかずっと過去に何かを抱えていたり、いわゆる自分の追い求める幸せをつかめない役をいただくことが続いていたので、『あれ、お芝居でずっと悲しい気持ちになってばかりだな』と気づいてしまいました。マネージャーさんにも『いつになったら私、幸せになれますか』って聞いたことがありました」と笑う。

 以前の取材で奈緒は「難解な役ほど乗り越えようとモチベーションになる」と話していたが、さすがにヘビーな役が続くと、プライベートにも影響が及ぶのではないのだろうかと心配になる。

 「この撮影中に、(主演の)窪田正孝さんに『奈緒ちゃんって、ちょっと悲しい役とか、何かを抱えている役がいっぱい来る?』と声を掛けていただいて」と話し出すと「『そうなんですよ』と話をしたら、『分かる、俺もそうだった』って。でも急にパタッと変わる日が来るよってお話ししてくださったんです」とエピソードを明かす。

 窪田の言葉に「確かにそうかも」と吹っ切れたという奈緒。「作り手の皆さんも、何か私のなかの新しいものを引き出そうとして声を掛けていただいているので、いま私に求められているのは、こういう役なんだ」と前向きになれたという。

 俳優ファーストの齊藤組

 映画『スイート・マイホーム』で奈緒が演じるのは、住宅会社社員の本田。齊藤監督はこの役にかなりこだわりを持って、ヘアメイクから肌質まで、入念に奈緒と共に役を作り上げていったという。

 「齊藤監督自身が、俳優としていろいろな現場に参加されているなかで、感じた違和感みたいなものを、全て取り除いて、『こういう現場だったらいいな』ということを具現化してくださったような撮影でした」。

 数多く撮影現場を知るからこその気づき。その結果が俳優ファーストの現場だった。

 「齊藤監督はあまりモニターの前にいないで、ずっと撮影現場にいてくださるんです。お人柄もあって、とても現場が穏やかで、何があってもフラットでいてくださる。それは主演の窪田さんも一緒で、いろいろなトラブルで、私自身が上手くいかないときでも、すごく優しく受け入れてくださいました」。

 本作の撮影中、奈緒は心も体も少し疲れていたという。「現場に行くことで、癒されるというか、心の手当てをしていただいたような。純粋に映画作りに向き合っているチームだったので、とても幸せな時間でした」。

 映画『スイート・マイホーム』は9月1日より全国ロードショー

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